[キーウ 15日 ロイター] - ウクライナの専門家は、ロシアによる侵攻で農業部門が受けた打撃が修復されない限り、世界の食料安全保障維持における地位を回復できないとみている。
キーウ・スクール・オブ・エコノミクス(KSE)が農業食料省と行った分析で、14億3500万ドルに相当する240万ヘクタール分の冬作物が収穫できない見通しが明らかになった。
侵攻により農業部門ではこれまで42億9200万ドルの損失を被った。約4万2000匹の羊とヤギ、9万2000頭の牛、25万8000匹の豚、570万羽以上の家禽(かきん)が死亡した。
KSEのセンター・フォー・フード・アンド・ランド・ユース・リサーチの専門家は「ロシアの侵攻で農産物の自由な輸出だけでなく、世界中で年間約4億人の食生活に影響を与える」と指摘。
「土地やインフラ、農機の損傷は農産物の生産に直接影響する。失われた資産の修復がなければ、ウクライナは世界の安全保障での地位を回復できないだろう。まず損害の把握が必要だ」と述べた。