[ブリュッセル 22日 ロイター] - 欧州議会は22日、欧州連合(EU)の炭素市場改革法の修正案を賛成多数で可決した。今月初旬の初回投票では否決していたが、修正後可決されたことでEUの気候変動対策に遅れが生じるとの懸念が和らいだ。
炭素市場改革でEUの二酸化炭素(CO2)排出量削減の取り組みが加速する見通し。初回投票ではEU排出権取引制度(ETS)の排出枠無償割り当てについて、足元のエネルギー価格高騰やインフレを踏まえて早期に廃止することが妥当かどうかについて意見が分かれた。
今回、産業向けの無償排出枠を2032年までに段階的に廃止し、鉄鋼、セメントなどの輸入品に対する炭素税を代わりに導入して域内外で公正な競争環境を整備する案に対し、過半数の議員が賛成票を投じた。
産業界は排出枠無償割り当てを継続するよう議会に働きかけてきた。
ETSは発電所や工場が上限を超えてCO2を排出する場合、排出枠を購入することを義務付けている。購入可能な排出枠にも制限が設けられている。
可決された法案では購入可能な排出枠の上限は24年以降に4.4%、26年以降に4.5%、29年以降に4.6%減らすとした。排出量の削減加速を促す狙いがある。