[ロンドン 4日 ロイター] - 欧州連合(EU)が電気自動車(EV)向け電池材料のリチウムを有害物質として分類すべきか検討している問題で、科学的根拠が弱いとして7つの業界団体が反対の立場を示した。
欧州化学品庁は気分障害の治療薬として長期間使用されたリチウム含有薬の研究を基に、リチウム塩を人の健康に有害な物質に分類することを提案している。
これに対し金属業界などの団体は、リチウムへのエクスポージャーと発達への影響は「関連性がかなり弱い」としたほか、生殖能力への影響については限定的な研究に基づいているなどと反論した。
5─6日には分類が勧告されているリチウムなど化学物質について検討委員会が開かれる予定で、EU加盟国が現在意見を提出している。最終決定は今年末か来年初めになる見通し。
業界団体はEUへの書簡で、リチウムを有害物質に分類すれば欧州のエネルギー転換目標に重大な影響を及ぼすと指摘。欧州のリチウム精製・リサイクル能力への投資を妨げ、域外のEV電池関連企業に有利に働くと主張した。
提案はリチウム輸入を禁止するものではないが、法制化されれば加工や保管に関する規制が厳しくなり、関連企業のコスト増につながる。