[ロンドン 5日 ロイター] - ウクライナ東部の親ロシア派組織「ドネツク人民共和国」が、東部の港湾都市マリウポリで外国船籍の商業船舶2隻を押収したことが分かった。民間の船舶が押収されたのは初めて。ロイターがそれぞれの船舶の所有者に宛てた通知を入手した。
押収されたのはリベリア船籍の「スマルタ」号とパナマ船籍の「ブルースターI」号。
ドネツク人民共和国側は、2隻が所有者への補償なしに「国有財産への強制転換を伴う動産強制収用」の対象になったと通知した。
「スマルタ」の所有者であるリベリアのスマルタ・シッピングは、6月30日に電子メールで押収を通知された。同社によると、スマルタ号は鋼材積み込みのため2月21日にマリウポリに到着。3月20日に砲撃を受け、船体が大きく損傷した。乗組員19人はロシア軍によりドネツクに強制連行され、1カ月後に解放されたという。
「ブルースターI」のオデーサ(オデッサ)にある管理会社フェティダ・マリタイムの関係者はコメントを控え、ウクライナの治安機関がすべての情報を持っているとした。
国際海事機関(IMO)によると、依然として80隻以上の外国船舶がウクライナの港で立ち往生している。
一方、ロシア軍は東部の支配地域拡大に向けて攻勢を強めている。
この日はドネツク州スラビャンスクの市場が空爆が受け、女性1人が死亡、少なくとも3人が負傷した。警察によると、市場は閉鎖されていたが、一部の店舗は営業していたという。
この日は、ウクライナがドネツク人民共和国からスラビャンスクを奪還してから8周年に当たっていた。
ロシアは隣接するルガンスク州をほぼ完全に掌握した。ドネツク州でも残る地域の制圧に向けた足掛かりとしてスラビャンスクを目標とし、ここ数日でミサイルを数発発射している。
スラビャンスク市長はフェイスブックで、同市が大規模な砲撃を受けていると述べ、市民に避難所にとどまるよう呼びかけた。