[ルガノ(スイス) 5日 ロイター] - スイスのカシス大統領兼外相は記者会見で、同国ルガノで開かれた「ウクライナ復興会議」でウクライナのシュミハリ首相が各国に、凍結しているロシア新興財閥らの資産の没収とウクライナ復興への利用を求めたことについて、問題への対処にはバランスが必要だとの冷ややかな反応を示した。
復興会議はロシアの侵攻で甚大な社会・経済的被害を受けたウクライナを支援するため各国が参集。シュミハリ氏は会議終了後の記者会見で、米国や欧州連合(EU)や英国が凍結した総額3000億─5000億ドルの資産はウクライナの破壊された学校や病院や住宅の再建資金に充てることができるはずだと主張した。
これに対してカシス氏は「大部分の民主主義国家のルールに従えば、われわれは資産の出どころを明らかにするための資産凍結はできる」と発言。ただ、資産とウクライナ情勢との関係が不透明な場合や、取るべき措置のバランスの問題などをスイスとしては解決しないといけないと距離を置く姿勢をにじませた。また、国家権力から個人を守ることや、資産没収には法的根拠を立てることが重要だとも述べた。
永世中立国のスイスは今回、EUの対ロシア制裁に同調。5月には国内に凍結したロシア資産が63億フラン(65億ドル)あることを報告している。ただ、この自動的な接収には抵抗。スイスはロシアのエリート層に以前から人気の土地で、ロシア富裕層の資産の置き場所にもなってきた。