[ドバイ 24日 ロイター] - 主要産油国サウジアラビアのBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)加盟は世界の舞台で影響力を拡大しようとするサウジの野心を浮き彫りにする一方、かつて鉄壁と見られた米国との同盟にはほころびが目立っている。
BRICS首脳会議は6カ国の加盟を決定。議長国南アフリカのラマポーザ大統領によると、アルゼンチン、エジプト、イラン、エチオピア、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)の6カ国が2024年1月1日に加わる。
サウジのファイサル外相は24日、「新たな発展と経済的機会を創出し、われわれの関係を望ましい水準に高めるためにこの協力を発展させていきたい」と語った。
アラブ諸国の有力国であるサウジとその隣国UAEは、米国がこの戦略的地域の安全保障へのコミットを弱めているとの懸念から独自の道を一層追求している。
ライス大学ベーカー研究所(ヒューストン)のリサーチフェロー、ジム・クレイン氏はサウジとロシアの石油市場に係る連携、中国との関係緊密化、米国の原油増産要請を拒否したことを挙げ、「いくつかの分野でサウジは米国の利益を無視している」と指摘。「サウジが米国の影から抜け出して久しいが、サウジはますます非同盟的な道を歩み、米国の利益と対立している」と述べた。
<ドル離れ懸念>
サウジにとって最大の石油輸出先である中国は、西側への対抗軸にしようとBRICS拡大を主導してきた。昨年12月には習近平国家主席がサウジを訪問。習氏の訪問は、バイデン米大統領が同国を訪問し、米国のガソリン価格上昇を抑えるために原油増産を要請したものの、失敗に終わった後だ。
クレイン氏は、ドル以外の通貨による原油価格設定が米国にとって最大の懸念だと指摘。「中国は以前からサウジに人民元建ての設定を求めている」と語った。
ユーラシア・グループの中東・北アフリカ担当責任者、アイハム・カメル氏は、サウジは世界秩序における中国とインドの重要性を考えてBRICSを重視しているとしつつ、「しかしBRICSだけを重視しているわけではなく、20カ国・地域(G20)やその他フォーラムも地政学的影響力を拡大する戦略の鍵と見なしている」との見方を示した。
(Yousef Saba記者、Hadeel Al Sayegh記者、取材協力:Sarah El Safty and Patrick Werr)