David Lawder
[ワシントン 30日 ロイター] - 世界銀行は30日に発表した「一次産品市場の見通し」で、原油価格は第4・四半期の平均で1バレル=90ドルになる見込みだが、経済成長の鈍化が重要を後退させ2024年は平均81ドルまで下落するとの予想を示した。一方、中東での紛争が激化すれば原油価格が大幅に上昇する可能性があると警告した。
世銀は、イスラエルとイスラム組織ハマスの紛争開始以来、原油価格は約6%しか上昇しておらず、農産物や大半の金属、その他の一次産品価格は「わずかな変動にとどまっている」とした。
報告書では、1970年代以降の域内の紛争の歴史に基づき3つのリスクシナリオを概説した。「小規模な混乱」シナリオでは、世界の石油供給量は11年のリビア内戦時の減少量とほぼ同じ日量50万─200万バレルの減少となり、第4・四半期の原油価格は1バレル=93─102ドルに上昇すると予想した。
一方、03年のイラク戦争に相当する「中程度の混乱」シナリオでは世界の石油供給は日量300万─500万バレル抑制され、原油価格は109─121ドルになると想定。1973年のアラブ石油禁輸に匹敵する「大規模な混乱」シナリオでは世界の石油供給は日量600万─800万バレル縮小し、原油価格は140─157ドルになることが見込まれるとした。
世銀のアイハン・コーゼ副チーフエコノミストは「原油価格の上昇が続くと必然的に食料価格が上昇する」と指摘。「深刻な原油価格ショックが現実のものとなれば、すでに多くの途上国で上昇している食料価格インフレを押し上げるだろう」とした。