Alexander Cornwell Maha El Dahan
[ドバイ 29日 ロイター] - アラブ首長国連邦(UAE)は欧州の原子力インフラへの投資を巡り英国を含む欧州諸国と接触している。事情に詳しい3人の関係者が明らかにした。
その一環として、アブダビ首長国の政府系投資会社ADQが保有する首長国原子力会社(ENEC)が、欧州の原子力事業の少数株主になる構想について協議している。ENECは他国の原子力インフラの経営権を取得したり運営を担ったりする意向はないが、少数株式を保有する国際的原子力会社になる意向だ。
関係者の話では、ENECは英国への投資について話し合いを進めてきた。
潤沢な資金を保有する産油国のUAEとサウジアラビアは、経済が化石燃料に依存する状況からの脱却を目指している。一方で英国は、フランスのエネルギー大手EDFが建設している大規模原子力プロジェクト「サイズウェルC」への追加の民間投資を求めている。
UAEと英国は昨年12月にドバイで開かれた国連気候変動枠組み条約第28回締結国会議(COP28)で民生用原子力分野の協力に関する覚書を締結した。
英エネルギー安全保障・ネットゼロ省の報道官は「サイズウェルCは英国の新たな原子力政策の重要な柱であり、低コストで環境に配慮した安全な電力システムを構築する計画の中核的存在だ」と指摘。出資構成などの商業的な話し合いは進行中であり、それ以上はコメントできないとした。
ENECはロイターに対する声明で、同社は「国際的成長と投資に関する計画」の一環として、「新たな民生用原子力プロジェクトと、民生用原子力技術およびクリーン水素といった関連するクリーンエネルギー技術の双方で、協力する機会を探るため多数のパートナーと取り組んでいる」と説明した。
さらに関係者によると、ENECは最近の原子力施設建設の経験を踏まえ、欧州諸国における原子力インフラ開発のパートナーとなる可能性もある。