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BS11 Research Memo(4):「売上高150億円」を業績目標へ

発行済 2016-05-02 16:17
更新済 2016-05-02 16:33
BS11 Research Memo(4):「売上高150億円」を業績目標へ
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■中期経営計画『Forward 18 by Team BS11』 日本BS放送 (T:9414)は今般、2016年8月期~2018年8月期の3ヶ年中期経営計画『Forward 18 by Team BS11』を公表した。
今中期経営計画の基本戦略は「3つの“力”」と「5本の矢」の2つで構成されている。
「3つの“力”」とは企画力、キャスティング力、マーケティング力を意味している。
「5本の矢」とは自社制作番組の選択と集中など、番組作りと番組の編成に関する5つの項目のことだ。
「3つの“力”」と「5本の矢」はすなわち、「良質の番組をどのように制作・編成し、どのように収益に結び付けていくか」ということの基本戦略でもある。
同社は、こうした基本戦略を通じて2018年8月期において「売上高150億円」を業績目標として掲げている。
「売上高150億円」という値は、キー局系列BS放送5社の現在の売上高の水準であり、トップ6社の一角を占める存在になるという同社の強い意志を象徴する数字だというのが弊社の理解だ。
ところで、「番組作り強化による売上高の拡大」という同社の戦略には“先行投資”負担が不可欠だ。
同社の収入構成はタイム収入(放送時間枠の販売による収入)が約4分の3を占め、残りの約4分の1を占めるスポット収入(番組と番組の合間の時間枠の販売による収入)も、同社の自社制作番組ではなく購入番組に関連したものが多いのが現状だ。
同社が注力する「良質の番組作り」とは自社制作番組のことであるのは言うまでもないが、自社制作番組は制作費を同社がまず負担し、それをタイム収入やスポット収入で回収するという構造であるため、ここで“先行投資”的に費用増加が生じることになる。
こうした費用の増加は同社の利益を圧迫することになるが、同社はこの点についてひるんではいない。
その背景には、同社の売上高予想が10,000百万円を超えたことがある。
2016年8月期の売上高が大台を突破するのが見えてきたことが、同社が攻めの経営に転じた最大のきっかけになったものと弊社では推測している。
今中期経営計画の業績目標において利益目標が掲げられていないことは、上述した費用増加と深い関連がある。
これまで同社は、売上高原価率や売上高販管費率、売上高営業利益率などについて、一定の目標水準を定めて経営管理を行ってきた。
しかし、2016年8月期からはそうした制約を一度取り払って経営の自由度を増し、同社が目指す良質の番組作りを最優先させる姿勢を示している。
図からも読み取れるように、同社は毎年の増益については実現していく意向を持っており、当面はKPI(重要経営指標)の数字を追求するのではなく、“前期比増益”という定性的な経営目標を目指すことになるものとみられる。
こうした利益についての同社のスタンスについて、投資家の中には不安を感じる向きもあろうが、弊社は懸念しておらず、むしろポジティブに評価している。
理由は2つだ。
1つは鶏か卵かという循環参照状態から脱却する判断を下したこと自体が、同社の経営力と企業体力の高さを象徴していると考えられることだ。
もう1つは、同社のローコストオペレーションだ。
これはBS放送局としての同社が本質的に有しているものではあるが、同社は過去の業績でそれを証明してきた。
番組作りに資金を投じたことが売上高の増加として反映されれば、利益として残りやすい体質を同社は有している。
売上高成長を実現できれば利益成長もおのずとついてくると弊社では確信している。
今中期経営計画の業績目標「2018年8月期において売上高150億円」という数値については、「決して簡単ではないが、可能性は十分にある」というのが弊社の評価だ。
BS放送の広告市場が同社を含めた無料でBS放送を行う放送局にとっての収益源であるが、その市場規模は2015年までの10年間に年率9.8%、過去5年間では同9.5%で成長してきた。
同社の売上高の2011年8月期から2016年8月期(会社予想)までの5年間の年平均成長率は16.1%で、市場全体の伸びを上回る成長率を達成してきている。
BS放送の市場規模の拡大基調はまだ続くと期待されるが、今後、成長率は鈍化する可能性もある。
しかしながら、同社は市場全体の動きからかい離する形で、これまで以上に高い売上成長を継続させるものと弊社では考えている。
同社は独立系であり、キー局系BS放送局と比較すると資金力やコンテンツの供給、知名度などの点でハンディキャップがあり、それがBS放送草創期の成長スピードの差となって表れた。
しかし同社は、その差を「時間」で埋め合わせて追い付きつつあり、ここからの数年間は先行したキー局系BS放送局に追い付く最後の段階だというのが弊社の理解だ。
詳細は後述するが、同社は独立系であることを強みとして収益拡大に結び付ける具体例を着実に積み重ねており、自社制作コンテンツの強化と併せて、収益拡大ペースをこれまで以上に加速させることは十分可能であるとみている。
2018年8月期に売上高150億円を達成するためには、2016年8月期会社予想値を起点として、今後2年間の年平均成長率として21.3%を実現しなければならない。
この数値は過去5年のそれと比較して5%ポイント以上高いもので、決して容易な目標ではない。
しかし、今中期経営計画で同社が強化を図るのは自社制作番組だ。
これは同社の番組構成の約50%を占めながら広告スポンサーが付く割合は非常に少なかった。
好調なタイム収入の伸びを維持しながら自社制作番組関連でタイム収入やスポット収入の上積みを実現できれば売上高20%増というのは十分達成可能な目標であると弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

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