■会社概要
(1)沿革
ワコム (T:6727)は1983年に埼玉県上尾市で設立された。
社名は「ワールド」と「コンピュータ」に由来しており、「WA」には「人とコンピュータの調和」の意味も込められている。
1984年には世界初のコードレス・ペンタブレットを発表した。
1987年にはプロフェッショナル用グラフィックス・ペンタブレットの「SDシリーズ」が発売され、米ディズニー社の映画制作で使用された。
その後も地道に製品の改良を重ね、クリエイターや愛好家向けである、クリエイティブ・ペンタブレット市場では2000年代以降は安定的に80%台の世界シェアを有している。
1991年にペン・センサーコンポーネント分野(現テクノロジーソリューション事業)に進出した。
これは同社が電子ペンやコントロールIC、センサーボード等の部品、モジュールを完成品メーカーにOEM供給する事業だ。
詳細は後述するが、タブレットやスマートフォンの市場拡大に乗って急成長を遂げている。
証券市場には2003年4月に日本証券業協会JASDAQ市場に上場した後、2005年12月に東京証券取引所第1部に上場して現在に至っている。
(2)事業の概要 a)事業部門と主要製品 同社の製品は “ペンタブレット”と呼ばれるコンピュータ入力用のデバイスだ。
一般的に利用されているマウスを使っても絵や文字を書くことは可能だが、ポインティングの精度が低いため思いどおりの線を描くことは難しい。
そこで筆記具たる電子ペンとタブレット(石板に由来)を用いて精密な絵や文字を簡単に入力することを可能にした器具がペンタブレットだ。
ペンタブレットは主として、コンピュータ上でデザインやイラスト、グラフィックス等を制作する際に利用されている。
マウスに比べて正確な操作が可能で、製品によっては筆圧やペンの傾きなども感知してより繊細にタッチを表現できるものもあるためだ。
ペンタブレットと液晶ディスプレイを統合して、電子ペンで液晶画面に直接描画できるようにしたものもある。
後述する同社の製品区分において“ディスプレイ”と称されている液晶ペンタブレット(一部製品は“モバイル”にも含まれている)がそれに当たる。
通常のペンタブレットに比べて高価だが、直感的な入力が可能であるため、クリエイターの間では普及が進んでいる。
同社の事業部門は「ブランド製品事業」、「テクノロジーソリューション事業」及び「その他の事業」の3部門から成る。
ブランド製品事業はWACOMブランドでペンタブレットの完成品や入力用ペンなどを、クリエイターや愛好家といったクリエイティブユーザーから一般消費者、あるいはビジネスユース向けに販売する事業だ。
テクノロジーソリューション事業は同社のペンタブレットの部品(電子ペン、センサー、コントロールIC等)をタブレットやスマートフォンのメーカーにOEM供給する事業。
その他の事業の中味は、エンジニアリングソリューション事業と称する電気設計用CADシステムの開発・販売事業となっている。
各事業部門の詳細は後述する。
事業区分、製品区分、主要製品別の売上高内訳を見ると、2016年3月期実績ベースでは、ブランド製品事業が63%、テクノロジーソリューション事業36%、その他の事業1%となっている。
ブランド製品事業は製品区分として、クリエイティブビジネス、コンシューマビジネス、ビジネスソリューションに分けられるが、特に大きいのはクリエイティブビジネスで、54%を占めており、その中でもペンタブレットが全体の31%と大きな位置を占めている。
部品を外販するテクノロジーソリューション事業は全体の36%を占めているが。
その向け先別内訳として、スマートフォン、タブレット、ノートPCの3つがある。
特に大きいのはスマートフォン向けとなっている。
タブレット向けとノートPCについては、近年はノートPCとタブレットの垣根が低くなってきており、電子ペンを搭載したノートPCがタブレットへと移行している状況だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
社名は「ワールド」と「コンピュータ」に由来しており、「WA」には「人とコンピュータの調和」の意味も込められている。
1984年には世界初のコードレス・ペンタブレットを発表した。
1987年にはプロフェッショナル用グラフィックス・ペンタブレットの「SDシリーズ」が発売され、米ディズニー社の映画制作で使用された。
その後も地道に製品の改良を重ね、クリエイターや愛好家向けである、クリエイティブ・ペンタブレット市場では2000年代以降は安定的に80%台の世界シェアを有している。
1991年にペン・センサーコンポーネント分野(現テクノロジーソリューション事業)に進出した。
これは同社が電子ペンやコントロールIC、センサーボード等の部品、モジュールを完成品メーカーにOEM供給する事業だ。
詳細は後述するが、タブレットやスマートフォンの市場拡大に乗って急成長を遂げている。
証券市場には2003年4月に日本証券業協会JASDAQ市場に上場した後、2005年12月に東京証券取引所第1部に上場して現在に至っている。
(2)事業の概要 a)事業部門と主要製品 同社の製品は “ペンタブレット”と呼ばれるコンピュータ入力用のデバイスだ。
一般的に利用されているマウスを使っても絵や文字を書くことは可能だが、ポインティングの精度が低いため思いどおりの線を描くことは難しい。
そこで筆記具たる電子ペンとタブレット(石板に由来)を用いて精密な絵や文字を簡単に入力することを可能にした器具がペンタブレットだ。
ペンタブレットは主として、コンピュータ上でデザインやイラスト、グラフィックス等を制作する際に利用されている。
マウスに比べて正確な操作が可能で、製品によっては筆圧やペンの傾きなども感知してより繊細にタッチを表現できるものもあるためだ。
ペンタブレットと液晶ディスプレイを統合して、電子ペンで液晶画面に直接描画できるようにしたものもある。
後述する同社の製品区分において“ディスプレイ”と称されている液晶ペンタブレット(一部製品は“モバイル”にも含まれている)がそれに当たる。
通常のペンタブレットに比べて高価だが、直感的な入力が可能であるため、クリエイターの間では普及が進んでいる。
同社の事業部門は「ブランド製品事業」、「テクノロジーソリューション事業」及び「その他の事業」の3部門から成る。
ブランド製品事業はWACOMブランドでペンタブレットの完成品や入力用ペンなどを、クリエイターや愛好家といったクリエイティブユーザーから一般消費者、あるいはビジネスユース向けに販売する事業だ。
テクノロジーソリューション事業は同社のペンタブレットの部品(電子ペン、センサー、コントロールIC等)をタブレットやスマートフォンのメーカーにOEM供給する事業。
その他の事業の中味は、エンジニアリングソリューション事業と称する電気設計用CADシステムの開発・販売事業となっている。
各事業部門の詳細は後述する。
事業区分、製品区分、主要製品別の売上高内訳を見ると、2016年3月期実績ベースでは、ブランド製品事業が63%、テクノロジーソリューション事業36%、その他の事業1%となっている。
ブランド製品事業は製品区分として、クリエイティブビジネス、コンシューマビジネス、ビジネスソリューションに分けられるが、特に大きいのはクリエイティブビジネスで、54%を占めており、その中でもペンタブレットが全体の31%と大きな位置を占めている。
部品を外販するテクノロジーソリューション事業は全体の36%を占めているが。
その向け先別内訳として、スマートフォン、タブレット、ノートPCの3つがある。
特に大きいのはスマートフォン向けとなっている。
タブレット向けとノートPCについては、近年はノートPCとタブレットの垣根が低くなってきており、電子ペンを搭載したノートPCがタブレットへと移行している状況だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)