ティムコ<7501>(東証スタンダード)は、フィッシング用品およびアウトドア用品の企画・開発・販売を展開している。フィッシング用品分野ではフライフィッシングのパイオニアであり、アウトドア用品分野ではオリジナル衣料ブランド「Foxfire」を主力としている。22年11月期は黒字予想としている。コロナ禍の行動制限・外出自粛が緩和されてアウトドア事業が好調に推移している。さらに23年11月期は価格改定効果(21年12月から実施)も期待され、積極的な事業展開で収益改善基調だろう。株価は地合い悪化も影響して昨年来安値を更新する場面があったが、その後は調整一巡して反発の動きを強めている。収益改善基調や低PBRを評価して戻りを試す展開を期待したい。なお1月19日に22年11月期決算発表を予定している。
■フィッシング用品およびアウトドア用品の企画・販売
フィッシング用品(ルアーフィッシング用品、フライフィッシング用品)およびアウトドア用品(アウトドア衣料・用品)の企画・開発・販売事業を展開している。
フィッシング用品の分野では、日本では歴史の浅いフライフィッシングのパイオニアであり、竿から衣料品に至るまで全てのフライ用品を取り扱う唯一の企業であることを特徴・強みとしている。アウトドア用品の分野では、自社オリジナルブランドのアウトドア衣料ブランド「Foxfire」を主力としている。
21年11月期のセグメント別売上高構成比はフィッシング事業が36%、アウトドア事業が63%、その他(不動産賃貸収入など)が1%、営業利益(全社費用等調整前)はフィッシング事業が102%、アウトドア事業が▲15%、その他が12%だった。
■ブランド力向上、ネット販売強化、グローバル化を推進
中期的な重点課題としてBRAND(ブランド力を高めるための戦略強化)、NET(インターネット活用を前提とする仕組の強化)、GLOBAL(世界に通用することを目指す商品・仕組の構築)を掲げ、基本戦略としては規模の拡大よりも内容の充実に重点を置き、フィッシング事業ではフライ用品の裾野拡大やルアー用品のユーザー層拡大、アウトドア事業ではオリジナルアウトドア衣料ブランド「Foxfire」や直営店舗「Foxfire Store」の認知度向上・ユーザー層拡大に取り組んでいる。
またネット通販や宣伝販売促進の更なる強化、フィッシング事業の強化、直営店フォックスファイヤーの販売チャネル見直しや不採算店舗整理による事業効率化、社内業務見直しによる販管費コントロール・経費削減なども推進している。
なお19年4月にスノーピーク<7816>と資本業務提携し、スノーピークが第1位株主となっている。商品開発・販売などを共同展開する。21年11月にはスノーピーク、アイビック、アイビック食品、および同社の4社共同で、キャンプ・フィッシング・食を融合した体験型施設などを展開し、新たなアウトドアカルチャーの価値創造を目的とする新会社キャンパーズアンドアングラーズ(札幌市)を設立した。
■22年11月期黒字予想、23年11月期も収益改善基調
22年11月期の業績予想(非連結、収益認識会計基準適用だが営業利益以下への影響なし、22年11月28日付で売上高を下方修正、利益を上方修正)は、売上高が21年11月期比10.0%増の32億47百万円、営業利益が88百万円の黒字(21年11月期は26百万円の赤字)、経常利益が93百万円の黒字(同14百万円の赤字)、当期純利益が79百万円の黒字(同9百万円の赤字)としている。配当予想(22年11月28日付で期末6円60銭上方修正)は、21年11月期比6円60銭増配の12円(期末一括)としている。
売上面は前回予想に対して66百万円下方修正した。釣りが注目された前期に比べて平常に復したため、フィッシング事業の売上がやや低調だった。ただし、コロナ禍に伴う行動制限や外出自粛の影響が緩和されたアウトドア事業が好調に推移し、前回予想に対して営業利益は33百万円、経常利益は34百万円、当期純利益は36百万円、それぞれ上回る見込みとした。
なお第3四半期累計は売上高が前年同期比12.9%増の24億56百万円、営業利益が78百万円の黒字(前年同期は44百万円の赤字)、経常利益が85百万円の黒字(同33百万円の赤字)、四半期純利益が76百万円の黒字(同51百万円の赤字)だった。2桁増収で黒字転換した。なお収益認識会計基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高が2百万円減少、売上原価が1百万円、販管費が3百万円減少しているが、営業利益以下への影響はなかった。
フィッシング事業は売上高が4.8%減の8億32百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が5.3%減の1億45百万円だった。屋外アクティビティとして注目された釣り需要に一服感が見られたことに加えて、ルアー用品における対象魚種の釣果低迷やコロナ禍による商品納期遅延発生も影響した。
アウトドア事業は売上高が25.5%増の16億09百万円、利益が63百万円の黒字(同69百万円の赤字)だった。22年4月以降に行動制限が発出されたかったことなどでコロナ禍の影響が和らぎ、透湿防水素材の軽量ジャケットや防虫素材(スコーロン)を使用した商品の販売が順調に推移した。
その他(不動産賃貸収入)は賃貸面積の縮小により、売上高が26.9%減の14百万円、利益が39.0%減の8百万円だった。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高が7億53百万円で営業利益が0百万円の赤字、第2四半期は売上高が9億36百万円で営業利益が68百万円の黒字、第3四半期は売上高が7億67百万円で営業利益が10百万円の黒字だった。
22年11月期はアウトドア事業が牽引し、前回予想に対して黒字拡大予想となった。さらに21年12月からフライ関連製品、ルアー関連製品、Foxfire関連製品(一部製品は23年2月から)の価格改定を実施しており、23年11月期は価格改定効果も期待される。積極的な事業展開で収益改善基調だろう。
■株主優待制度は毎年11月末の株主対象
株主優待制度は毎年11月30日現在の株主を対象として、保有株式数に応じてFoxfire Store20%OFFお買物優待券を贈呈(詳細は会社HP参照)する。
■株価は戻り試す
株価は地合い悪化も影響して昨年来安値を更新する場面があったが、その後は調整一巡して反発の動きを強めている。収益改善基調や低PBRを評価して戻りを試す展開を期待したい。1月16日の終値は770円、前期推定PER(会社予想のEPS31円90銭で算出)は約24倍、前期推定配当利回り(会社予想の12円で算出)は約1.6%、前々期実績PBR(前々期実績のBPS1809円91銭で算出)は約0.4倍、そして時価総額は約26億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)