[オタワ 13日 ロイター] - カナダ銀行(BOC、中央銀行)は13日、政策金利である翌日物金利の誘導目標を50ベーシスポイント(bp)引き上げ、1.0%にすると発表した。利上げ幅は約20年ぶりの大きさ。ロシアによるウクライナ侵攻が一部要因になりインフレが高進する中、一段の引き締めを実施していく姿勢を示した。
中銀は、新型コロナウイルス感染拡大を受けた景気支援策の一環として買い入れた債券の再投資の終了も決定。いわゆる量的引き締めにも着手した。
決定は双方ともアナリスト予想通り。前回50bpの幅での利上げが実施されたのは2000年5月。
中銀は「インフレ高進が続くとの観測が根付くリスクが高まっている」とし、「金利はさらに上昇する必要がある」とした。
マックレム中銀総裁は政策決定会合後、一段の利上げが必要との考えを表明。「インフレ率を目標に戻すために政策金利を利用していくことにコミットしており、必要に応じて力強く対応する」と述べた。
その上で、中立金利は2%と3%の間のどこかにあると中銀はみなしているが、今回の利上げにもかかわらず、政策金利はこの水準を大きく下回っていると指摘。「需要が金利上昇に素早く反応し、インフレ圧力が緩和すれば、金融引き締めの一時停止が適切になる可能性がある」としながらも、「需給バランスを回復し、インフレ率を目標に戻すために、一定期間にわたり政策金利を中立金利をやや上回る水準に引き上げる必要もある」と語った。
カナダの2月のインフレ率は5.7%。約30年ぶりの高水準を付け、中銀が設定するインフレ目標レンジ(1─3%)を11カ月連続で上回った。
こうした中、中銀は3月に25bpの利上げを決定。約3年ぶりの金融引き締めに踏み切っていた。
中銀は今回、インフレ見通しを上方修正。上半期は6%をやや下回る水準とし、1月時点の5%から引き上げた。通年では5.3%とし、4.2%から上方修正。ロシアによるウクライナ侵攻を受けたエネルギー価格の上昇や供給網の制約などが背景にあるとした。
経済成長率については、個人消費に牽引され第2・四半期は年率6%と、第1・四半期の倍のペースに加速するとの見方を示した。
中銀は4月の金融政策報告で「経済におけるスラック(需給の緩み)が吸収され、生産能力を超えて経済が動き始めたことが広範な指標で示唆されている」とした。
BMOキャピタル・マーケッツのチーフ・エコノミスト、ダグ・ポーター氏は「インフレ対応という大きな課題に直面していることを踏まえると、極めて積極的な行動が正当化される」とし、「6月に50bpの追加利上げが決定される公算が大きい」との見方を示した。
次回の政策決定会合は6月1日。