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BS11 Research Memo(5):ショッピング業界からの広告出稿量の減少がBS放送市場全体に影響

発行済 2019-05-22 15:05
更新済 2019-05-22 15:21
© Reuters.  BS11 Research Memo(5):ショッピング業界からの広告出稿量の減少がBS放送市場全体に影響
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■業績の動向2. BS放送事業の売上高の動向前述のように、日本BS放送 (T:9414)の個別業績は中核事業であるBS放送事業の収益から成っている。

個別事業の売上高内訳は主として広告主からのスポンサー収入から成り、タイプ別に、タイム収入、スポット収入、その他収入の3つの収入に分けられる。

今第2四半期はタイム収入、スポット収入共に前年同期比減収となり、また期初予想対比でも未達となった。

その他収入は前年同期比では14.5%増収だったが期初予想対比ではやはり未達で着地した。

今第2四半期にスポンサー収入が伸び悩んだ理由として、まずは業界環境の変化が挙げられる。

2018年(暦年)の衛星メディア関連(BS、CS、CATV)の広告費は1,275億円で前年の1,300億円から1.9%減少した。

衛星メディア市場は2000年末に立ち上がった比較的新しいサービスで、2003年頃までの黎明期を除いて一貫して右肩上がりの成長が続いていたが、2018年は15年ぶりにマイナス成長に転じた。

背景には通販広告(ショッピング番組に係る収入)の減少があり、BS放送のみならずCS放送なども含めて衛星メディア市場全般に影響を及ぼしたとみられる。

こうした事業環境を反映して、同社の2019年8月期第2四半期の個別売上高も、前述のように前年同期比3.4%の減収となった。

同社は、独立系放送局ならではの編成の自由度の高さを生かし、ショッピング番組を重要な収益源として確立していた。

それは裏を返せばショッピング番組からの収入への依存度が相対的に高いことでもある。

ここが落ち込んだことにより、自社制作番組の強化や、同社が強みを有する他の分野(アニメ、競馬など)での営業強化などの施策の効果が埋没してしまい、全社ベースでの前年同期比減収につながった。

ショッピング業界からの収入が低下したそもそもの理由については、レスポンス低下に伴う広告出稿量の見直しや、デジタルシフト(スマートフォンなどの個人の携帯情報端末に多様なメディアが統合され、そこで供給される情報量も従来から格段に多くなっていること)の進展などがあると考えられる。

ショッピング業界からの広告出稿量の減少について、同社はBS放送業界対インターネット業界という業界対立の問題ではなく、商材の一巡によるシクリカルなものと受け止めている。

したがって今後、新商材の登場などに伴い、緩やかに回復に向かうという見方を示している。

弊社では、BS放送市場とインターネット広告市場とではユーザー層やその消費構造において依然として大きな違いがあり、両社は共存できる関係にあると考えている。

それゆえ同社の見方には十分説得力があると考えている。

コストコントロール力の高さを生かして利益面では期初計画を達成3. BS放送事業の費用・利益の動向前述のように、売上高においては期初予想を下回ったものの、営業利益以下の各利益項目は期初予想を20%近く上回って着地した。

その要因は費用のコントロール力であり、この点は従来から変化はない。

同社は2019年8月期の期初に当たり、番組制作費や広告宣伝費を積極的に投下する方針で臨んだ。

今期を2020年8月期において個別業績の売上高150億円を達成するための先行投資期間と位置付けていることが背景にある。

今第2四半期の実績としては、番組関連費用が前年同期比17.5%増の2,095百万円となった。

内訳は番組購入費が同37.7%増の384百万円、番組制作費が同13.7%増の1,711百万円だった。

番組購入では海外人気ドラマや映画の購入を積極的に実施した。

また番組制作では、良質な自社制作番組の強化の観点から更なる内容充実・キャスティングの選定等に投資したほか、eスポーツ大会の運営・放送等を実施した。

同社は今第2四半期の番組関連費用について、期初計画どおりの支出となったとしている。

広告関連費用は、今第2四半期は前年同期比49.6%増の505百万円となった。

内訳は広告宣伝費が同56.1%増の466百万円、販売促進費が同0.1%減の39百万円だった。

広告宣伝では、新聞広告(全国・地方)による視聴世帯数増加の取り組みを継続したほか、Web媒体の積極活用、ローカルテレビ局へ局イメージCMなどを実施した。

広告関連費用の前年同期比伸び率は約50%増と非常に高いが、当初の計画からは抑制されたもようだ。

番組関連費用や広告関連費用を初め、各費用項目全般について資金の効率的な投下を進め、可能な限り経費削減を進めた結果、売上高が期初予想未達だったにもかかわらず利益面では期初計画の達成を実現した。

営業利益は、前年同期比較で42.3%(678百万円)の減益となったが、その増減要因分析は減益要因が721百万円、増益要因が43百万円となっている。

減益要因の内訳は、売上高の減収効果、番組関連費用の増加、広告関連費用の増加及び人件費の増加となっている。

また増益要因についてはその他経費の削減が中身となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)

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