[シドニー 8日 ロイター] - オーストラリアのモリソン首相は8日、海外から帰国する市民や永住者の人数を制限することを検討する方針を示した。
同国では、人口が2番目に多いビクトリア州で新型コロナウイルスの感染者急増を受け行動制限が再導入されたが、モリソン首相は制限措置を全国的に再導入する計画はないとした。
ビクトリア州はまた、ニューサウスウェールズ(NSW)州との州境も7日深夜に閉鎖した。州都メルボルンでは新型コロナの感染者がここ数日急増しており、8日深夜からロックダウンが再び実施される。
モリソン首相はテレビ中継された記者会見で「みなさんが現在経験している犠牲はみなさん自身と家族のためだけでなく、オーストラリアの社会全体のためであることを全国民は理解している」と述べた。
「いら立ちは分かる。われわれはウイルスをコントロールすることはできない。だがウイルスへの対応は自分たちで決めることができる」と語った。
同首相はオーストラリアへ戻る航空便の数を制限して市民や永住者の帰国を遅らせることを10日に提案する考えを明らかにした。
<1週間で最大10億豪ドルの打撃も>
これに先立ち、フライデンバーグ財務相は、ビクトリア州で再導入された行動制限について、1週間で豪経済に最大10億豪ドル(7億米ドル)の打撃が生じる可能性を指摘した。
メルボルンでは8日深夜から少なくとも6週間のロックダウン(都市封鎖)が再導入された。カフェやバー、レストラン、美容院、ジムが営業停止となり、不可欠な仕事を除き約490万人が自宅にとどまることが求められる。
財務相はオーストラリア放送協会(ABC)で「1週間で最大10億豪ドルの打撃となる。企業に大きな影響がでるだろう」と発言。同州が国の経済の約4分の1を占めるとの試算に基づいている。
ビクトリア州では8日朝までの24時間で134人の新規感染が明らかになった。1日の新規感染者数は過去最高だった前日の191人からは減少したが、一桁台前半の他の州と比べて格段に多い。