[ベルリン 9日 ロイター] - ドイツ連邦統計庁が発表した5月の貿易統計によると、輸出、輸入ともに4月の記録的落ち込みから回復した。
ただ、輸出入とも市場予想を下回っており、新型コロナウイルス感染防止のための規制が緩和されたにもかかわらず、需要が低迷していることが浮き彫りとなった。
5月の輸出は季節調整済み前月比で9%増加、輸入は3.5%増加した。4月は輸出が24%減、輸入は16.6%減だった。
貿易収支は76億ユーロの黒字で黒字幅は前月から拡大した。
ロイターがまとめたエコノミストの予想は、輸出が13.8%増、輸入が12%増、貿易黒字は52億ユーロだった。
5月の輸出は、新型コロナ危機前の2月の水準を約27%下回っている。輸入も伸び悩んでおり、内需の低迷が続いていることがうかがえる。
バンクハウス・ランペのエコノミスト、アレクサンダー・クルーガー氏はリポートで「今回の輸出の増加を歓迎する理由はない」とし「過去の生産能力を回復するには長い時間がかかる。外需の復活に大きく左右される」と述べた。
連邦統計庁によると、5月の対中輸出は前年比12.3%減。対米輸出は同36.5%減。
政府は内需の拡大を通じた景気の回復を目指しており、今年下半期の付加価値税(VAT)を引き下げている。
INGのチーフエコノミスト、カルステン・ブルゼスキ氏は「ドイツはこれまで、輸出を通じて景気の回復を促すことができたが、今回は輸出以外の分野に頼る必要がある」と指摘。
「もしそれがうまくいけば、新型コロナは結果として、よりバランスの取れた経済成長モデルを実現する重要な要因になった可能性がある」と述べた。
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