[ニューヨーク 21日 ロイター] - 一時は新型コロナウイルス感染拡大の中心地とされていたニューヨーク市は封じ込め策を成功裏に実施したものの、秋になって気温が下がれば再拡大のリスクに直面する可能性がある、との認識を同市に拠点を置く複数の公衆衛生専門家が示している。
ロイターの取材によると、同市の対策が効果を上げてきたのは、地域および連邦政府が示した感染予防ガイドラインの順守率が高かったこと、3─4月の感染拡大が深刻だったために一般市民に実質的な免疫力がついたことなどが要因という。
同市のデータでは、1日あたり新規感染者数の7日間平均値は、ピークだった4月上旬の5000人超から200人以下に減少。 新型コロナ検査の陽性率も3月下旬の70%前後から1%未満に低下したほか、死者数も5月の1日あたり500人超から1桁台前半に減少している。
市内最大の医療機関ネットワークを運営するノースウェルヘルスの幹部、マーク・ジャレット氏は、州政府や医療機関、メディアが一致して厳格なロックダウン(都市封鎖)を順守したことが奏功したと指摘。マスク着用やロックダウンに対する抵抗が大きかった他地域とは一線を画した、とした。
また感染率が急激に低下した要因として、ニューヨーク市立大学医学部のマリア・リマ副学部長は、当初の感染拡大時に市民の25─50%がある程度の免疫を得たためとの認識を示した。
ただ、フォーダム大学の疫学専門家トロイ・タシエ教授は、学校が再開され、気温が低下して多くの人々が屋内に閉じこもる季節を控え、感染者数が増加するリスクは残ると指摘している。