[シドニー/メルボルン 26日 ロイター] - オーストラリアのビクトリア州は26日、新型コロナウイルス感染症による1日当たりの死者数が24人と、過去2番目に多かったと明らかにした。新規感染者は149人で、前日の148人とほぼ変わらなかった。
新規感染者は8月5日に記録した過去最多の700人超を大幅に下回っている。これまで最も多かった1日当たりの死者数は、前週に記録した25人。[nL4N2FJ0YH]
ビクトリア州政府は感染拡大抑止に向けて緊急事態宣言を1年延長し、封鎖措置の延長や再導入を可能にしたい考えだ。
ただ、連邦政府の閣僚などからは延長に反対する声が上がっている。
テハン教育相はオーストラリア放送協会(ABC)に対し、「自由が奪われ、ビクトリア州で民主主義の機能が損なわれることになる」との見方を示した。
豪州全体の新型コロナによる死者数は549人に上り、その約64%が連邦政府の監視下にある高齢者福祉施設の居住者だ。
モリソン首相は今週、高齢者施設での対策を巡り、議会で野党の追及を受けている。
豪州のコロナ感染者の累計は25日に2万5000人を突破、その大半がビクトリア州で確認されている。
<ワクチンの大規模治験、今年末までに開始の可能性>
一方、研究者は、オーストラリアで新型コロナの抗体医薬の人への臨床試験(治験)が2021年初頭にも始まる可能性に期待しており、ワクチンの大規模治験は今年末までに開始される可能性があるという。
研究者のワイ・ホン・タム氏によると、メルボルンのウォルター・アンド・イライザ・ホール研究所は、COVID─19(新型コロナ感染症)の原因となるウイルスのスパイクタンパク質を中和し、ヒトの細胞に入ることを阻止する有力な抗体の特定に向けて大きく前進している。
同氏は、抗体医薬は高齢者や免疫システムが弱まった人に対して最も有効だと指摘。記者団に対して「来年早々にも治験が始まる可能性がある」と語った。
クイーンズランド大学は、「分子クランプ」技術を活用したワクチンがハムスターを使った実験において有効性が確認され、量産が可能であることを、同校の研究者が国際ワクチン学会に報告したと発表した。
同プロジェクトの共同リーダーのキース・チャッペル氏は、現在進行中の第1相試験で安全性や免疫反応が示されれば、パートナーのCSL (AX:CSL)は年末までに大規模な治験を開始することが可能だと述べた。
*内容を追加しました。