[ブラジリア 19日 ロイター] - ブラジルの新型コロナウイルス対応を巡る議会上院の調査報告書は、多くの国民の死亡につながる政府の過失があったとして、ボルソナロ大統領を殺人罪で訴追することを勧告した。
大統領は政治的な動機に基づいているとして調査を退けている。また、ボルソナロ氏が任命した検事総長が実際に同氏を訴追する公算は極めて低いとみられる。
調査を行う上院委員会向けに野党のレナン・カリェイロス上院議員が準備した1200ページ近くに及ぶ報告書は、ボルソナロ大統領がワクチンを獲得する早い段階の機会を活かさず、ワクチン接種キャンペーンを遅らせたため推計で9万5000人の命が奪われた、と主張。「(大統領は)自然感染による集団免疫理論と治療法の存在に対する根拠のない信念」に導かれていたとしている。
報告書案は上院委員会での採決が必要となり、否決されたり、変更されたりする可能性がある。採決は来週に予定されている。
大統領府からは今のところコメントを得られていない。
報告書はまた、ボルソナロ大統領の3人の息子についても「パンデミック(世界的大流行)を抑えるための公衆衛生措置への不服従」を促す偽情報を拡散したとして、訴追を勧告した。
ブラジルの新型コロナによる死者は累計で60万人を超えており、世界で米国に次ぐ2番目の多さとなっている。