[ジュネーブ 15日 ロイター] - 国連は15日に公表した環境報告書で、国や企業による環境汚染で新型コロナウイルスよりも多くの人が死亡しているとし、一部の有害化学物質を規制するため迅速で野心的な行動が必要だと指摘した。
報告書は、農薬やプラスチック、電子廃棄物による汚染で人権が侵害され、毎年少なくとも900万人が死亡していると分析。この問題はほとんど見過ごされていると指摘した。
データ集計会社ワールドメーターによると、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)で死亡した人は約590万人。報告書の死者推計値はこれを上回る。
報告書の著者である国連特別報告者デビッド・ボイド氏は「汚染と有害物質がもたらすリスクを管理するための現在の方策は明らかに失敗しており、清潔で健康的かつ持続可能な環境を獲得する権利の侵害が広がっている」と結論付けた。
同氏はロイターとのインタビューで「われわれは、こうした人々に対してより良い行動を取る倫理的、法的義務がある」と強調した。
この報告書は国連人権理事会に来月提出される予定で、15日に理事会のウェブサイトに掲載された。