[東京 2日 ロイター] - 日本製鉄 (T:5401)の宮本勝弘副社長は、ロイターのインタビューに応じ、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しさが続く業績について「4―6月期が一番の底になる」との見通しを示した。4―6月期については、粗鋼生産量の減少や減産コストなどで、1000億円レベルの減益要因になるとした。
インタビューは5月28日に行った。
宮本副社長は「新型コロナ次第だが、4―6月期が一番の底」と指摘した。4―6月期の粗鋼生産量が前年比で200―300万トン減少。高炉の一時休止などに伴う減産コストも加わることで「1000億円レベルのマイナス要因になる」と述べた。
8日に行った決算発表時には、2021年3月期(国際会計基準、IFRS)見通しの開示を見送った。ただ、橋本英二社長は会見で「上期の大幅な(単独営業)赤字は避けられない」との見通しを示していた。
赤字幅がどの程度になるかについては「7―9月期のどこで戻るか、戻らないかによっても変わってくる」とした。足元については、一部自動車生産が動き出したことなどを踏まえ「想定した最悪より、若干プラスの部分も出てきている」という。
同社は、15基ある高炉のうち6基を夏までに一時休止することを決めている。さらなる対応策の必要性については「新型コロナ次第」とし「今のところ、今取った措置をベースにやっていく」とした。
新型コロナの感染拡大により自動車生産が落ち込むなど、鉄鋼需要には多大な影響が出ている。
ただ、自国産化の流れのなかで、日本の粗鋼生産1億トンのうちの輸出4000万トン、間接輸出2000万トンについては減少する方向にあったという。宮本副社長は「どのタイミングで粗鋼生産が8000万トンになるかはまだ分からないが、新型コロナによって、想定していた時期よりも早く来る」と指摘。「やろうとしていた戦略をスピードアップするということ」と述べ、構造改革の効果を早期に得られるように進める考えを示した。加えて「場合によっては、今後の需要を見ながら、さらなる構造対策をやっていく」とした。
汎用品の輸出が減少傾向にある中で、日本の製造業向けの高級品の供給については「きちっと守り抜く」と語った。
(清水律子 大林優香)