■今後の見通し
2018年3月期通期についてサンワテクノス (T:8137)は、売上高139,000百万円(前期比19.2%増)、営業利益3,500百万円(同16.1%増)、経常利益3,800百万円(同18.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,650百万円(同67.3%増)を予想している。
同社は第1四半期決算に続いて第2四半期決算に際しても通期見通しを上方修正し、この通期予想に至っている。
最新の通期業績予想の達成のために必要な今下期の業績は、売上高が71,652百万円(前年同期比7.6%増)、営業利益が1,727百万円(同10.6%減)、営業利益率2.4%という水準だ。
これら前年同期比の変化率や営業利益率の水準を見る限り、今下期業績の達成は容易に見えるが、同社自身は慎重な姿勢を堅持している。
売上高に関しては、前年下半期の売上高の水準が高水準だったことが同社の慎重な姿勢の理由の1つとみられる。
とりわけ、2017年3月期第4四半期は売上高が39,804百万円と400億円目前に迫り過去最高を更新した。
足元の勢いが持続すればその記録更新も十分可能と弊社では見ているが、同社自身はたとえ近未来のことであっても先行きに対して安易な楽観は禁物というスタンスだ。
利益についても同社は慎重で、今下期の前年同期比10.6%減益という営業利益予想は特に保守的ではないとしている。
その理由として自動車関連(設備関連及び車載用電子部品)の売上高の伸長を挙げている。
一般的に良く知られたことではあるが、自動車関連のビジネスは低マージンであることが多く、同社もその例に漏れないもようだ。
自動車関連売上の伸長によるいわゆる製品ミクスの悪化による利益率低下を懸念して現在の下期予想を妥当なものと考えているということだ。
弊社では前述のような会社側の慎重なスタンスはポジティブに評価されるべきであると考えており、また同時に、同社の説明にも説得力があると考えている。
しかし同時に、やはり今下期については現在の会社予想は控え目に過ぎると考えている。
弊社のロジックは以下のとおりだ。
自動車関連事業の利益率の低さは同社の想定が現実的であり、利益率が想定以上に高くなって営業利益以下が想定を上回るというシナリオは描きにくい。
しかし、売上高の上振れは大いにあり得ると考えている。
前年下期から今上期に続く同社の取扱商品への強い需要は、今下期も継続する可能性が高いと考えていることがその背景にある。
スマートフォンが重要な最終製品であることは従来から変わりがないが、今回のサイクルでは自動車と半導体が加わった。
これらの業界から同社が恩恵を享受すること自体は過去にも何度も見られているが、内容において大きく変化してきている。
自動車については従来からの設備投資関連に加え、ADASやEV化に伴う車載部品の需要が太い幹に成長しつつあり、同社がその波をうまく捉えつつあることは前述のとおりだ。
半導体は、同社は設備投資関連での関わりとなるが、HDDからSSDへの切り替わりと、中国における半導体産業の勃興という2つの構造的な動きが底流に存在している。
こうした事情を考えると、ごく一時的な変動はあっても、同社を取り巻く事業環境としては今下期も好調が継続すると弊社では考えている。
その結果、今期の売上高が、弊社が想定するように会社予想の139,000百万円を超えてくる可能性は十分あるだろう。
今下期の増収率が2ケタになれば、売上高の超過額は約2,000百万円となる。
想定される営業利益率2.5%を適用すれば営業利益の超過額は50百万円となる。
しかし実際には、超過売上高(このケースでは2,000百万円)に対する利益率は全社平均よりもはるかに高くなり限界利益率(商社である同社の場合には売上総利益率)に近づくことが多い。
この想定のもとでは営業利益の上振れ可能性は約200百万円となり、ポジティブサプライズを引き起こすには十分な値だと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
2018年3月期通期についてサンワテクノス (T:8137)は、売上高139,000百万円(前期比19.2%増)、営業利益3,500百万円(同16.1%増)、経常利益3,800百万円(同18.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,650百万円(同67.3%増)を予想している。
同社は第1四半期決算に続いて第2四半期決算に際しても通期見通しを上方修正し、この通期予想に至っている。
最新の通期業績予想の達成のために必要な今下期の業績は、売上高が71,652百万円(前年同期比7.6%増)、営業利益が1,727百万円(同10.6%減)、営業利益率2.4%という水準だ。
これら前年同期比の変化率や営業利益率の水準を見る限り、今下期業績の達成は容易に見えるが、同社自身は慎重な姿勢を堅持している。
売上高に関しては、前年下半期の売上高の水準が高水準だったことが同社の慎重な姿勢の理由の1つとみられる。
とりわけ、2017年3月期第4四半期は売上高が39,804百万円と400億円目前に迫り過去最高を更新した。
足元の勢いが持続すればその記録更新も十分可能と弊社では見ているが、同社自身はたとえ近未来のことであっても先行きに対して安易な楽観は禁物というスタンスだ。
利益についても同社は慎重で、今下期の前年同期比10.6%減益という営業利益予想は特に保守的ではないとしている。
その理由として自動車関連(設備関連及び車載用電子部品)の売上高の伸長を挙げている。
一般的に良く知られたことではあるが、自動車関連のビジネスは低マージンであることが多く、同社もその例に漏れないもようだ。
自動車関連売上の伸長によるいわゆる製品ミクスの悪化による利益率低下を懸念して現在の下期予想を妥当なものと考えているということだ。
弊社では前述のような会社側の慎重なスタンスはポジティブに評価されるべきであると考えており、また同時に、同社の説明にも説得力があると考えている。
しかし同時に、やはり今下期については現在の会社予想は控え目に過ぎると考えている。
弊社のロジックは以下のとおりだ。
自動車関連事業の利益率の低さは同社の想定が現実的であり、利益率が想定以上に高くなって営業利益以下が想定を上回るというシナリオは描きにくい。
しかし、売上高の上振れは大いにあり得ると考えている。
前年下期から今上期に続く同社の取扱商品への強い需要は、今下期も継続する可能性が高いと考えていることがその背景にある。
スマートフォンが重要な最終製品であることは従来から変わりがないが、今回のサイクルでは自動車と半導体が加わった。
これらの業界から同社が恩恵を享受すること自体は過去にも何度も見られているが、内容において大きく変化してきている。
自動車については従来からの設備投資関連に加え、ADASやEV化に伴う車載部品の需要が太い幹に成長しつつあり、同社がその波をうまく捉えつつあることは前述のとおりだ。
半導体は、同社は設備投資関連での関わりとなるが、HDDからSSDへの切り替わりと、中国における半導体産業の勃興という2つの構造的な動きが底流に存在している。
こうした事情を考えると、ごく一時的な変動はあっても、同社を取り巻く事業環境としては今下期も好調が継続すると弊社では考えている。
その結果、今期の売上高が、弊社が想定するように会社予想の139,000百万円を超えてくる可能性は十分あるだろう。
今下期の増収率が2ケタになれば、売上高の超過額は約2,000百万円となる。
想定される営業利益率2.5%を適用すれば営業利益の超過額は50百万円となる。
しかし実際には、超過売上高(このケースでは2,000百万円)に対する利益率は全社平均よりもはるかに高くなり限界利益率(商社である同社の場合には売上総利益率)に近づくことが多い。
この想定のもとでは営業利益の上振れ可能性は約200百万円となり、ポジティブサプライズを引き起こすには十分な値だと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)