[北京 28日 ロイター] - 中国国家統計局が28日発表した1─5月の工業部門企業利益は前年比18.8%減少した。新型コロナウイルス禍後の景気回復が失速する中、企業は需要鈍化で利益率が圧迫されている。
1─4月は20.6%減だった。2桁の落ち込みが続き、追加の景気支援策に対する期待が強まった。
5月単月では前年比12.6%減、4月は18.2%減だった。
中国経済は5月、小売売上高や輸出、不動産投資など多くの面で減速し、若者の失業率は20.8%と過去最悪を更新した。
財新国際経済研究院のWu Chaoming氏は「工業部門企業利益の回復はなお鈍く、企業経営が直面する継続的な困難を示している」とし、一段の支援措置の妥当性を強めるものだと指摘した。
自動車メーカーは5月の利益が前年比倍増した。ただ、急増の背景にはコロナ関連規制の影響で前年同月の業績がさえなかったこともある。
統計局の担当者は発表文で「外部環境が複雑さと厳しさを増す中、内需は依然として不十分で、工業部門企業利益のさらなる回復の重しになっているようだ」とし、利益回復の基盤はまだ強固ではないと指摘した。
1─5月の利益は外国企業が13.6%減、民間企業は21.3%減。業種別では主要41セクターのうち24セクターで減少し、石油・石炭・燃料加工業の落ち込みが92.8%と最大だった。
中国は先週、景気回復を後押しするため銀行貸出金利の指標となる最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)を10カ月ぶりに引き下げた。新エネルギー車(NEV)の取得税減免措置を延長する方針も発表した。
李強首相は27日、第2・四半期の経済成長率が第1・四半期を上回るとの見通しを示し、内需拡大に向けてより効果的な政策を打ち出すと述べた。
ただ、地方政府の債務問題や他の長期的なリスクを巡る懸念から、政府は景気浮揚に慎重な姿勢を取っている。
工業部門企業利益の統計は、主要事業の年間売上高が2000万元(277万ドル)以上の大企業が対象。