■事業概要ジャストプランニング (T:4287)の事業は、ASP事業、システムソリューション事業、物流ソリューション事業、太陽光発電事業、その他事業の5つの事業セグメントで区分されている。
2019年1月期の事業セグメント別構成比を見ると、売上高はASP事業が39.6%、物流ソリューション事業が42.8%と2つの事業で全体の80%以上を占めるが、売上総利益ではASP事業が70.1%と同社収益の大半を占める主力事業となっている。
各事業の内容については以下のとおり。
1. ASP事業ASP事業は、インターネットを介して売上、仕入、勤怠管理など店舗を運営していく上で必要な業務用ソフトを利用できるサービス、「まかせてネット」(1998年サービス開始)が主力となっている。
主な顧客は、20~50店舗規模でチェーン展開する中小規模の外食企業であり、「まかせてネット」を導入することで顧客企業は店舗の経営状況を迅速、かつ低コストで収集・管理・分析することが可能となる。
契約店舗からの月額利用料が売上高の大半を占めるストック型のビジネスモデルで、売上総利益率も70%超と高く同社の主力事業となっている。
「まかせてネット」の月額利用料金は、利用するサービスによって変わるが、1店舗当たり平均で2万円台前半の水準となっている(フルサービスの提供で約4万円)。
競合企業の多くが月額1万円前後の料金水準で提供していることからすれば高めの料金設定だが、これは他社であれば別途追加料金が発生するようなカスタマイズ対応についても、同社は無償でサービス提供していることが要因となっている(ただし、大幅な仕様変更については別途料金が必要)。
契約店舗数は2019年1月期末時点で4,532店舗(契約企業数250社、物流管理システム「Logi Logi(ロジロジ)」含む)。
国内の外食チェーン店舗数は約5.8万店舗((一社)日本フランチャイズチェーン協会調べ)となっており、同社の業界シェアは1割弱の水準となるが、主要ターゲットである50店舗以下の中小規模の外食チェーン向けに限れば1割強のシェアになっていると推定される。
競合企業としては、アルファクス・フード・システム (T:3814)、(株)日立システムズ、(株)アスピットなど同規模クラスの企業が5~6社ある。
このうち、アルファクス・フード・システムの契約店舗数は、2018年9月期末時点で7,403店舗(契約企業数276社)と同社を約1.6倍上回り業界トップの水準となっているが、売上高についてはARPU(1店舗当たり平均売上高)が同社よりも低いため約1.3倍の差となり、契約企業数で見れば約1.1倍の差となっている。
なお、外食企業向けのASPサービスとしては、インフォマート (T:2492)も受発注サービスを行っており、一部サービスが重複している。
ただし、インフォマートは主に売り手側(食品卸会社向け)のサービスをメインとしているため、インフォマートと顧客が重複する場合には互いにシステム連携を行うなど良好な関係を構築している。
同社はARPUの向上、あるいは顧客の囲い込みを図るため、「まかせてネット」以外の付加価値サービスの拡充も進めている。
このうち、「まかせてタッチ」(2014年サービス開始)は飲食店で来店客からのオーダーを受ける際に使用する専用端末(ハンディターミナル)を、iPadやiPod touchなどの汎用端末に置き換えたサービスとなる。
汎用端末を用いることで初期導入費用を約3分の1と大幅に低減できることに加え、一般的に広く普及している端末を使うため従業員の習熟度も早く、教育研修期間や費用を圧縮できること、メンテナンス費用を低減できることなどが特徴として挙げられる。
「まかせてタッチ」の導入費用は初期費用で10万円から、月額利用料は1店舗当たりオーダリングサービスで9,800円、POSサービスで5,000円、保守サービスで5,000円の合計19,800円となる。
契約店舗数は100店舗超とまだ少ないが、「まかせてネット」の導入店舗だけでなく新規顧客からの契約も増え始めている。
そのほか、ASP事業には新サービスとなる「Putmenu」の事業が含まれる。
2018年2月に開発元となるボクシーズ(株)及び(株)タグキャストとの共同出資により、新会社・プットメニュー(株)を設立し(同社の出資比率は70%)、連結子会社とした。
「Putmenu」の開発はボクシーズで担当し、営業は同社の社長及び営業スタッフ3名にボクシーズの社長を合わせて合計5名を中心として、外部企業の協力も得ながら進めている。
「Putmenu」は、飲食店舗等で利用客がスマートフォンアプリを使うことで注文・決済の待ち時間「0分」を実現するモバイル注文・決済システムで、決済手段としては携帯キャリア3社やLINE Payのほか、Apple Pay、PayPal、Alipayなど海外の決済システムにも対応している。
また、アプリは12言語表示に対応しており、外国人の利用も可能になっているほか、アレルギー物質を事前に登録することで、メニュー表示段階で判別できるようにしたり、ハラル、ヴィーガン表示にも対応するなど、外国人の利用も視野に入れた作りになっていることが特徴だ。
さらに、他の類似サービスとの違いは、近距離無線通信技術「bluetooth」によるビーコン(電波送受信機)やスマートフォンのGPS機能を使って利用客の位置を認識するIoT技術を組み合わせたシステムになっていることにある。
利用者の位置情報がビーコン等によって認識されることで注文が可能となるほか、どの席や場所から注文されたかが把握できるため、これらデータを収集・解析することで効果的なマーケティング施策を打つことが可能となり、同社サービスの強みとなる。
同仕組みは国際特許としてタグキャストが保有している(日米中韓英独仏など9ヶ国で取得)。
主な導入ターゲットとしては、商業施設のフードコートを中心とした飲食店舗やイベント会場等の行列のできやすい飲食店や物販店のほか、外国人観光客が多いホテルや観光地での普及拡大を進めていく戦略となっている。
収益モデルは2通りで、常時営業している飲食店等では月額固定料金で提供し、イベント会場や観光地等では「Putmenu」を経由した流通総額の一定料率をレベニューシェアする料金体系で提供していく方針となっている。
2. システムソリューション事業システムソリューション事業は、主にASPサービス契約企業の店舗に導入するPOSシステムやオーダリングシステムなど各種端末機器の販売や設定・メンテナンスサービスとなる。
ASPサービスを新規契約した場合でも、既に店舗にPOSシステム等の端末機器が設置されている場合は買い替えの必要がないため、ASP事業との売上げの連動性は低い。
また、端末機器に関しては仕入販売となるため、事業全体の売上総利益率も20%台と相対的に低くなっている。
3. 物流ソリューション事業物流ソリューション事業は、2005年に子会社化した(株)サクセスウェイ(出資比率100.0%)の事業で、主に外食企業向けの物流ソリューションやマーチャンダイズソリューション、本部業務代行サービスなどを提供している。
現在は、労働集約型である物流業務代行サービスが売上げの大半を占めていることもあり、売上総利益率は10%台と低いが、今後は同社で開発した物流総合管理システム(店舗発注、倉庫管理、在庫管理等)の「Logi Logi」(契約店舗数は約300店舗)の拡販に注力していく方針となっている。
4. 太陽光発電事業太陽光発電事業は、子会社の(株)JPパワー(出資比率100.0%)で展開している。
栃木県内2ヶ所で合計1.7MWh(2015年2月稼働)、宮城県内で1.1MWh(2016年2月稼働)の発電所を運営し、電力会社に売電している。
発電能力は現状を維持していく方針となっており、償却負担減とともに利益率の上昇が見込める事業となる。
5. その他事業店舗運営ノウハウを学ぶ社員研修や新システムのテストマーケティングの場として、子会社のJPパワーで飲食店舗を運営している。
2019年1月期末時点の店舗数は居酒屋3店舗、ゴルフバー1店舗(福岡県、2014年10月事業譲受)の合計4店舗となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)