■業績動向八洲電機 (T:3153)の2019年3月期連結決算は、売上高が前期比5.0%減の69,828百万円、営業利益が同17.2%増の2,347百万円、経常利益が同16.2%増の2,523百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同16.5%増の1,836百万円となった。
同社の事業は、プラント事業、産業・交通事業、電子デバイス・コンポーネント事業の3つのセグメントで構成されているが、このうち産業・交通事業では、工作機械メーカーなどセットメーカーからの継続注文製品が好調があるのに加え、再開発案件やデータセンターに絡んだ空調設備が引き続き堅調に推移している。
さらに、交通関連も鉄道分野が好調を持続した。
全体的には売上規模は前期比2.6%のマイナスとなったものの、採算性の高い工事案件が増えており、利益に関しては同0.6%増と強含みとなっている。
一方、プラント事業は石油・化学の分野で前期の大型案件を補えなかったことなどによって売上高がマイナスとなったほか、電子デバイス・コンポーネント事業はFA機器、ロボット関連が好調ながら、アミューズメント関連の顧客からの発注が縮小した影響で売上高が大幅減となっている。
しかし、プラント事業については、工事関係の案件が増加するなど、内容的には改善している状況。
売上高は前期比7.1%減となりながらも、利益は同3.1%増と増益を確保している。
電子デバイス・コンポーネント事業の利益は同36.5%増と大幅増加。
利幅が薄かったアミューズメント向けの売上規模が縮小する半面、利益率が高いソフトウェアの受託開発の売上が伸びたことが背景にある。
配当金については、年18円の配当を当初の計画としていたが、年間20円配と上積みした。
財務関係では、構造的に大きな変化は見られないながら、利益剰余金が1,445百万円増加したことなどによって、自己資本比率は前期末の30.4%から33.5%に上昇している。
今後は、ポスト東京オリンピック・パラリンピックの受注動向を見極めなければならないものの、首都圏の再開発需要は依然として根強く、事業を取り巻く良好な環境に変化は見られない。
情報関連分野の製品が伸びを示すと想定されるほか、照明関連などの引き合いも活発化。
さらに、鉄鋼メーカーなどの設備老朽化に伴う更新工事も需要が旺盛な状態が続いており、増収増益基調を維持できそうだ。
2020年3月期連結決算見通しは、売上高が前期比6.0%増の74,000百万円、営業利益が同2.2%増となる2,400百万円、経常利益が同3.0%増の2,600百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同7.4%減の1,700百万円を見込んでいる。
配当については年20円を継続する見通しだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)