[ワシントン 29日 ロイター] - トランプ米政権は29日、オバマ政権下で導入された石油・ガス業界のメタンガス排出規制を緩和する案を発表した。メタンは主要な温室効果ガスの1つで、環境保護団体や機関投資家から批判の声が上がっている。
米環境保護局(EPA)は、石油・ガスの掘削井やパイプライン、貯蔵設備からのメタン漏えいを対象とした2016年の規制を緩和することで、エネルギー業界は2025年にかけて最大1億2300万ドルのコストを節減できると試算した。
緩和案はパブリックコメント期間を経て最終決定される。環境保護団体は阻止に向けて提訴する構えを示している。
ウィーラーEPA長官は「不要で重複する規制を石油・ガス業界 から取り除く」と説明した。
EPAは、揮発性有機化合物(VOC)やメタンの排出を制限した2012年の規制は維持するとした。EPA当局者は記者団に対し、2012年の規制やエネルギー業界の漏えい対策によってメタン排出は今後数年間で減少するとの見方を示した。
BP (L:BP)やエクソンモービル (N:XOM)など一部のエネルギー大手は、州ごとに異なるルールより確実性のある規制が望ましいとして、連邦政府による強固な排出規制を支持している。
だがEPAは、中小のエネルギー企業にとって現行規制はコスト負担が大きいと指摘する。
米石油協会(API)は規制緩和を歓迎した。
一方、企業の社会的責任を提唱し、信仰団体や年金基金、労働組合など140の機関投資家で構成するICCRは、メタン排出規制の緩和は気候変動の脅威を高め、経済全体のリスク拡大につながるとし、エネルギー業界に現行ルールを支持するよう訴えた。