[東京 19日 ロイター] - 内閣府が19日発表した2019年10-12月期機械受注(船舶・電力を除く)は前期比2.1%減となり、2四半期連続の減少となった。米中摩擦などの影響で製造業からの受注が減少したことが主因。
1-3月期の見通しも同5.2%減と減少幅を広げており、3四半期連続の減少となる可能性がある。設備投資の先行指標となる同指標は、新型肺炎の影響で中国向け輸出の悪化やインバウンド需要減退で減少傾向が続くとみられており、設備投資の行方に影を落としそうだ。
12月単月では前月比12.5%減。11月に大型案件により18.0%増となっていた反動減により非製造業が大きく落ち込んだのが主因。製造業は2カ月連続で増加しており、一般機械類や電気、化学、金属など幅広く増加している。
四半期でみると、10-12月期は前期比減少。うち、製造業からは3.6%減、非製造業は2.4%増だった。製造業では、電機や自動車関連はかろうじて増加となったが、非鉄金属や汎用・生産用機械などは減少、情報通信機械も足を引っ張った。米中貿易摩擦に伴う世界的な設備投資の慎重化が影響したものとみられる。
他方で非製造業の増加は、11月の運輸業からの鉄道車両の大型案件がけん引した。
<昨年末の調査でも1-3月期はマイナス見通し>
1-3月期の見通しが初めて公表されたが、同5.2%減と10-12月期よりも減少幅は拡大。製造業も非製造業もともに減少見通しとなっている。調査時点は昨年12月末であり、新型肺炎による影響は織り込まれていないとみられる。それでも、企業は先行きの投資に慎重な姿勢がうかがえ、すでに10-12月期国内総生産(GDP1次速報)で前期比減少となった設備投資のこの先の動きには期待が持てそうにない。
内閣府は「機械受注は足踏みがみられる」との判断を据え置き、足元12月が2桁減少したことについては、11月の大型案件の反動減が大きく、急に基調が悪くなったわけではないと説明した。しかし、製造業はすでに世界的な設備投資減速の影響を大きく受けているだけでなく、1-3月期は中国経済の減速という新たなリスクも重なる。
SMBC日興証券・宮前耕也シニアエコノミストは「(輸出について)2月からは新型肺炎の悪影響が本格化する見込みだ。新型肺炎で自律反発が抑えられ、2月の実質輸出も低迷する可能性がある」とみており、製造業の機械受注にも大きく影響しそうだ。非製造業においても、インバウンド需要で宿泊関連投資や小売・卸業の投資を押し上げてきたが、下押し圧力となりそうだ。
大和総研シニアエコノミストの小林俊介氏は「先行きの民需は、緩やかに減少すると予想する。新型コロナウイルスによる肺炎を巡る不確実性の増大もリスク要因となろう」とみている。
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(中川泉 編集:内田慎一 グラフ作成:佐々木美和)