[ロンドン 30日 ロイター] - 国際決済銀行(BIS)は30日公表したリポートで、コンピュータープログラムが売買を繰り返す「アルゴリズム取引」について、為替市場の機能向上につながっているが、一般的になり過ぎると報告される価格の質が損なわれる可能性があると指摘した。
アルゴリズム取引は世界の為替スポット取引の10─20%を占めているとみられる。
コストを最小限に抑え、透明性を向上させるという規制上の要求がアルゴリズム取引の拡大に拍車をかけている。2008年の金融危機以降、市場のボラティリティーが低かったことも利用増加につながった。
BISはリポートで「市場機能への影響は多くの要因によって決まる。アルゴリズムの進化の方向、市場シェア、リスクの理解と管理、金融市場動向との相互作用などだ」と分析した。
アルゴリズム取引は事前に決められた金額を売買するように設計された自動取引プログラムで、機械的なルールに基づいた取引からリアルタイムで市場の状況を評価するより複雑な戦略へと進化してきた。
アルゴリズム取引の拡大に伴って、銀行などのマーケットメーカーが顧客の注文を外部の取引プラットフォームを通さずに内部で付け合わせる「ダークプール」が増える傾向にある。
銀行が内部で注文を付け合わせることで市場参加者は恩恵を得られるが、ダークプールがあまりに多くなると主要プラットフォームの取引高が減少し、報告される価格の質が低下しかねないとBISは指摘した。