[クアラルンプール 13日 ロイター] - マレーシア中央銀行が13日発表した第2・四半期の国内総生産(GDP)は前年比16.1%増加し、市場予想の14.3%増を上回った。新型コロナウイルスの感染拡大で低迷した前年同期から持ち直した。
ただ、新たなロックダウン(都市封鎖)措置を踏まえ、中銀は2021年の成長率見通しを3.0─4.0%に下方修正した。従来見通しは6─7.5%だった。
中銀のノル・シャムシアー総裁は「マレーシアの景気回復は、2021年下期に広範囲にわたって再開し、2022年にかけて改善する見通しだ」と表明。
予想される経済活動の再開が、2021年第4・四半期の緩やかな景気回復を支援するとした上で、世界経済の回復と政策支援の維持がさらに景気を押し上げるとの見方を示した。
マレーシアでは、デルタ株の流行で新型コロナの感染者が増えており、12日には2万1668人の新規感染者が報告された。累計の感染者は134万人。
必要不可欠な事業は営業を許可されているが、5月以降、何らかの形のロックダウンが導入されている。
キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、アレックス・ホームズ氏は、マレーシア経済の短敵的な見通しは悪化しているが、ワクチン接種の進展に期待が持てると指摘。
同国では、人口の約50%が少なくとも1回のワクチン接種を受けている。
同氏は「第3・四半期は低迷が続く見通しだが、第4・四半期は力強い回復を予想しており、通年のGDP予測を5%増で据え置く」と述べた。
第2・四半期のGDPは、前期比では2%減。第1・四半期は2.7%増だった。
中銀は、GDPが季節調整済みベースで第4・四半期に新型コロナ前の水準に戻るとの見通しを示しているが、ノル・シャムシアー総裁は緩和的な金融政策を維持すると表明し、必要であれば対応する政策余地があると述べた。
OCBCのエコノミスト、ウェリアン・ウィラント氏は、2021年の見通しが「激しく下方修正」されたため、来月、利下げが実施される可能性があると分析。
「中銀は第4・四半期に経済が緩やかに回復し、来年にかけて経済成長が加速すると予測しているが、今回の下方修正に反映されているように、経済は打撃を受けており、金融緩和という形の対応が必要だ」と述べた。
中銀は、国内政局の混乱に関する質問に対し、金融市場の秩序を確実に維持していく方針を表明。ノル・シャムシアー総裁は「政治の安定が政策の透明性を高めることは間違いない」と述べた。