[東京 13日 ロイター] - 来週の外為市場では、ドルが米長期金利の上昇に支えられ111円台に定着できるかが焦点となりそうだ。回復を見せる米労働市場や米連邦準備理事会(FRB)高官らのタカ派的な発言でドル高地合いが続いているが、現時点ではテーパリング(量的緩和の段階的縮小)の開始時期について市場のコンセンサスがないため、ドルの上昇は慎重なテンポになるとみられる。
予想レンジはドルが109.50━111.50円、ユーロが1.1650―1.1850ドル。
上田東短フォレックスの営業推進室長、阪井勇蔵氏は「金融政策の正常化に向けて、FRBが日欧より一足先に踏み出す中、ドルが大きく崩れる構図は描きにくい」とみている。
ドル/円については、引き続き米長期金利に振らされやすく、米長期金利が1.40%台に乗せれば111円台に到達する可能性があると指摘。ただ「111円台では利益確定売りが出やすく、テーパリング開始のタイミングが不確かな中で定着は難しいかもしれない」(同)という。
市場では、FRBが8月26―28日の年次経済シンポジウム(ジャクソンホール会合)でテーパリングの概要を示して地ならしをし、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でより詳しい説明が行われるとの見方が多い。
18日には7月27―28日開催分のFOMC議事要旨が公表される。
「円高のアノマリー」があるとされる8月は米国債の償還・利払いに伴うドル売り/円買い需要が意識されてきたが、今年はアノマリーは不発のようだ。
ただ、リスクオフを促す材料はまだある。
国際エネルギー機関(IEA)は12日、年内のエネルギーは需要の伸びが低調になるとの見解を示した。
SNBC日興証券のチーフ為替・外債ストラテジスト、野地慎氏は「原油価格のダウンサイド・リスクが再び意識される中、カナダドルや豪ドルなどの資源国通貨は対ドルで下落し、南アフリカランドやブラジルレアルの下落も観測されつつある」と指摘。
こうした中でテーパリング前倒し議論などを手掛かりにドルの実質金利が上昇すれば、新興国通貨のみならずユーロや豪ドルに対してもドル高が一気に進み、資源価格の下落が株安、そしてさらなるドル高も招きかねないと野地氏はみている。
リスクオフ環境では、ドルと同時に円も買われやすくなる。