⏳ 後数時間!最大60%引きでお得 InvestingPro特別セールを請求する

アングル:かく乱か排除か、中古車にみる日米物価統計の違い

発行済 2021-08-13 17:45
更新済 2021-08-13 17:54
© Reuters.  8月13日、新型コロナウイルス禍にある日本では米国同様、中古車の価格が上昇している。米カリフォルニア州コルマの中古車販売店で2017年10月撮影(2021年 ロイター/St

杉山健太郎

[東京 13日 ロイター] - 新型コロナウイルス禍にある日本では米国同様、中古車の価格が上昇している。一部の人気車種では在庫日数が短く品薄感が強まるなど、需給バランスが崩れる現象も起きている。一方、米国とは違い、こうした消費者の経済活動は物価統計には表れない。民間エコノミストからは、中古市場の価格を捕捉する必要性が増しているとの見方も出ている。

コロナ下で「3密」回避の移動手段として自動車のニーズが高い状況は、日本も変わらない。中古車販売業界の関係者によると、都会のファミリー世帯ではキャンプ・アウトドアのブームが起きており、これらの「足」として使える車種も人気を集めている。4─6月の中古車登録台数(軽自動車を含む)は前年同期比6.2%増加した。

中古車のオークションを運営するUSS(愛知県東海市)のデータによると、同社が仲介して売買が成立した車両の平均落札価格は前年同月比で4月が39.0%、5月が33.9%、6月が18.8%、7月が13.6%それぞれ上昇した。

半導体不足の影響による新車の納期遅れが解消しきれない中、中古車は、在庫があれば即座に入手できるのが魅力だ。

自動車業界に詳しい東海東京調査センターの杉浦誠司シニアアナリストは「新車の人気車種では納車までの時間が長くなっている。需給バランスが正常化し、中古車市場で全体的に価格が落ち着くまで1年程度はかかるかもしれない」との見方を示す。

<実態を映す統計とは>

米国では、中古車価格の急騰が物価を見るうえでかく乱要因の一つになっている。米労働省が発表した7月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比5.4%上昇と、約13年ぶりの伸びとなった6月と同水準だった。

中古車・トラックの価格は同41.7%上昇。新車価格の上昇率は同6.4%だった。

今のところ、物価上昇は一時的との見方が優勢だが、いつまでこの「一時的」な現象が続くのか、警戒感も聞かれる。

これとは対照的に日本のCPIでは、中古車の価格が直接的には反映されていない。総務省が発表しているCPIで「自動車」に区分されているのは軽乗用車、小型乗用車、普通乗用車A(国内メーカー)、普通乗用車B(海外メーカー)の4品目。

それぞれの価格は毎月の小売物価統計で調査したものを用いる。そこから個々の品目の指数を計算し、ウエイト(家計の消費支出に占める割合)で加重平均して指数を出している。

総務省の担当者は「中古車は、同じメーカー・同じ車種でも走行距離や傷の状況、車内の状況などで価格が大きく変わってくる。新車の代表的な車種の価格を調べ、それに中古車の価格も代表させている」という。

© Reuters.  8月13日、新型コロナウイルス禍にある日本では米国同様、中古車の価格が上昇している。米カリフォルニア州コルマの中古車販売店で2017年10月撮影(2021年 ロイター/Stephen Lam)

ただ、この方式だと、新車価格に比べて、中古車価格だけが急激に上昇した場合、その価格の動きを正確には把握できないことになる。このほか、日本のCPIでは最もウエートが大きい「持家の帰属家賃」で家賃の経年変化を踏まえた品質調整を行っておらず、物価に下押し圧力がかかりやすいという点も一部で指摘されてきた。

総務省も実態を反映するため、より幅広く価格を把握する努力をしているが、消費行動の多様化は進んでいる。大和証券の末広徹シニアエコノミストは、中古車に限らず「ネット通販の取引拡大により、衣料品や日用品の中古市場も膨らんでいる」といい、中古市場の価格捕捉の必要性は増していると話す。

(杉山健太郎 編集 橋本浩)

最新のコメント

当社アプリをインストール
リスク開示書: 金融商品や仮想通貨の取引は投資金額を失う高いリスクがあります。仮想通貨の価格は非常にボラティリティーが高く、金融、規制、政治など、外的な要因に影響を受けることがあります。また信用取引はリスクが高いことを十分に理解してください。
金融商品または仮想通貨の取引をする前に、金融市場での取引に関わるリスクやコストについて十分に理解し、専門家の助言を求めたり、ご自身の投資目的や経験値、リスク選好等を注意深く検討することを推奨いたします。
Fusion Media によるこのウェブサイトのデータが、必ずしもリアルタイムおよび正確ではないということをご了承ください。またデータや価格が、必ずしも市場や取引所からではなく、マーケットメーカーにより提供されている場合があります。その為、価格は気配値であり、実際の市場価格とは異なる可能性があります。Fusion Media および当ウェブサイトへのデータの提供者は、当ウェブサイトに含まれる情報を利用したすべての損失に対して一切の責任を負わないものとします。
Fusion Media およびデータ提供者による事前の書面の許可なしに、当ウェブサイト上のデータを使用、保存、複製、表示、変更、送信、配信することを禁じます。すべての知的財産権は当ウェブサイト上のデータの提供者、または取引所が有します。
Fusion Media は当ウェブサイトに表示される広告により報酬を得ることがあります。
上記内容は英語版を翻訳したものであり、英語版と日本語版の間に不一致がある時は英語版が優先されます。
© 2007-2024 - Fusion Media Limited. 無断複写・転載を禁じます