[東京 16日 ロイター] - 内閣府が16日発表した2021年4―6月期実質国内総生産(GDP)1次速報は前期比0.3%増、年率換算で1.3%増のプラス成長となった。GDP統計の多くを占める個人消費が予想に反して2四半期ぶりに増加に転じ、西村康稔経済財政担当相は、外出自粛の一方で「旺盛な消費意欲もみられる」と指摘した。堅調な企業業績を背景に設備投資もプラスに寄与した。
実質GDPが前期比プラスに転じたのは2四半期ぶり。ロイターが実施した民間調査では前期比0.2%増、年率換算で0.7%増との予想で、発表された成長率は予測を上回った。
個人消費は前期比0.8%増と、2四半期ぶりのプラスだった。予測中央値は前期比マイナス0.1%だったが、予想に反してプラスに転じた。外出自粛の影響で飲食などは振るわなかった。
消費とともに内需の柱となる企業の設備投資は前期比1.7%のプラスだった。設備投資のプラスも2四半期ぶり。民間住宅は前期比2.1%増、政府の消費支出は同0.5%増となった。
海外経済の回復を受けて輸出は前期比2.9%のプラスだった。一方、輸入が同5.1%のプラスとなった影響で、GDP全体に占める外需の寄与度はマイナス0.3%となった。内需は0.6%のプラス寄与だった。
7―9月期もプラス成長を予想する声が今のところは多い。ただ、新型コロナウイルスワクチン接種の進展に伴う成長ペースの加速は後ずれ含みで、力強さに欠く展開も想定される。
日本経済研究センターが実施したESPフォーキャスト8月調査(回答期間7月30日─8月6日)によると、7―9月期GDPは年率2.55%のプラス成長に下方修正された。7月調査では年率4.90%のプラス成長が見込まれていた。
<追加対策「躊躇なく機動的に」>
GDP統計が4―6月期に実質プラス成長となったことを受けて、西村担当相は「日本経済には潜在的な回復力がある」とする談話を発表した。
新型コロナ感染の拡大抑制が重要との認識も併せて示し、「協力金をはじめ重点的・効果的な支援策をできる限り迅速に実行することで雇用と事業、生活を支えていく」とした。
経済財政運営では、20年度3次補正予算や21年度予算の執行と同時に「自律的な経済成長に向けて躊躇(ちゅうちょ)なく機動的なマクロ政策運営を行う」との考えを重ねて示した。
(山口貴也、杉山健太郎 グラフ作成:田中志保 編集:内田慎一)