[ウェリントン 15日 ロイター] - ニュージーランド(NZ)統計局が15日発表した第3・四半期の国内総生産(GDP)は、堅調な伸びとなった。国境が完全に再開されて旅行支出が増加したほか、建設部門の活動が拡大した。
第3・四半期GDPは、季節調整済みの前期比で2.0%増と、伸び率は第2・四半期(改定値)の1.9%から拡大し、市場予想の0.9%も上回った。
前年比の伸びは6.4%に加速。ヘルスケア、旅行、建設が好調だった。
ただ、NZ準備銀行(中央銀行)による積極的な金融引き締めにより、国内経済が来年に景気後退(リセッション)入りするとの懸念が高まっている。
財務省は14日、来年第2・四半期以降、3四半期連続でマイナス成長になるとの見通しを示した。また、中銀は第2・四半期から1年間のリセッションを予想している。
8月からの国境再開に伴い、運輸、郵便、倉庫分野が前期比9.7%増加した。
統計局当局者は「2022年9月に全ての渡航者に国境を再開したことで、国内外の航空旅行の支出が拡大した」と説明した。
ASB銀行のエコノミスト、ナット・キール氏は「今四半期の成長のかなりの部分は、一時要因によるものだ。国境再開に伴うサービス活動と輸出急増が背景にある」と指摘した。
経済成長は23年にかけて鈍化が見込まれるが、キール氏は現在の経済の底堅さは、経済活動に大きな回復力があることを示していると説明。中銀が次回2月の会合で75─100ベーシスポイント(bp)の利上げを行うと予想している。
一方、個人消費は依然低迷しており、前期比0.1%縮小、第2・四半期も同3.4%減少していた。
オーストラリア・アンド・ニュージーランド銀行(ANZ)のエコノミスト、マイルズ・ワークマン氏は「高インフレや住宅価格の下落、金利上昇が重くのしかかる中、明らかに家計部門は緊縮モードにある」と指摘し、労働市場の緩みが進む中、今後の景気低迷を予想した。