[25日 ロイター] - <為替> ドルが全般的に上昇。前日はトランプ米大統領に対する弾劾機運の高まりからドルが売られたものの、この日は買い戻しが入った。英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を巡る不透明感からポンド売りが目立った。
米司法省は25日、トランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が今年7月に行った電話会談の記録を公表した。会談ではトランプ氏が民主党のバイデン前副大統領の息子に絡む疑惑を調査するようゼレンスキー氏に依頼していたことが判明した。[nL3N26G3R7] 前日は民主党のペロシ下院議長が下院でのトランプ氏の弾劾訴追に向けた審議を開始すると表明していた。[nL3N26F4I8]
会談記録の公表について、RBCキャピタルマーケッツのアダム・コール氏は、トランプ氏が実際に弾劾される可能性は依然として低く、ドル売り材料とはならないと指摘した。
主要6通貨に対するドル指数 (DXY)は0.7%高と、約3カ月ぶりの大幅な伸びとなる勢い。
ポンド/ドル は1%超下落。市場は、英国のEU離脱問題がまだ何カ月も続くと見ており、総選挙を巡る懸念も織り込んでいる。[nL3N26G3JX]
ユーロ/ドル (EUR=)は0.68%安。
<債券> 米国債利回りが上昇。米国の新築一戸建て住宅の販売が好調だったことに加え、トランプ大統領が予想より早く中国との通商合意が得られる可能性があると発言したことを受け、国債に売りが出た。
財務省が実施した5年債入札が低調だったことも国債の売りにつながった。市場では通商交渉や経済指標が注目されており、トランプ大統領に対する弾劾調査開始の動きはそれほど重要視されていない。
トランプ大統領は前日に国連総会で行った演説で、中国の通商を巡る慣行を改めて非難し、米中通商協議で望ましくない合意は容認しないとの考えを表明。ただこの日は記者団に対し「中国は合意を切望している」とし、合意が予想より早く実現する可能性があると述べた。[nL3N26F42Z][nL3N26G3MW]
債券市場では通商問題を巡る進展が前向きに受け止められる中、トランプ氏の弾劾調査を巡る動きも注視されている。[nL3N26F4I8][nL3N26G3G2]
ただエバーコアISI(ニューヨーク)の債券ストラテジスト、スタン・シップリー氏は「大統領弾劾を巡る問題は、米国が景気後退(リセッション)に陥らない限りそれほど重要ではない」と指摘。
終盤の取引で10年債 (US10YT=RR)利回りは1.721%と、前日終盤の1.635%から上昇。一時は1.63%と、2週間ぶりの低水準を付けていた。
30年債 (US30YT=RR)利回りは2.134%と、2.095%から上昇。2年債 (US2YT=RR)利回りは1.645%と、1.594%から上昇した。
商務省発表の8月の新築一戸建て住宅の販売戸数(季節調整済み)は年率換算で前月比7.1%増の71万3000戸と好調。一方、財務省が実施した5年債入札の需要は低調で、応札倍率は2.32倍と、前回入札の2.48倍のほか、平均の2.36倍も下回った。こうしたことも国債が売られ利回りが上昇する要因になった。 [nL3N26G39M][nZXN0DOM1J]
<株式> 上昇し、ダウ平均株価 (DJI)が162ドル値上がりしたほか、S&P総合500種指数 (SPX)の上げ幅は過去2週間で最大となった。民主党によるトランプ大統領弾劾に向けた動きはあまり材料視されなかった。スポーツ用品大手ナイキ (N:NKE)が好決算を手掛かりに買いを集めた。
米民主党が24日、トランプ大統領の弾劾に向けた正式調査を開始したことを受け、25日序盤の取引では主要株価指数が一時下落。米司法省はこの日、トランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が今年7月に行った電話会談の記録を公表したが、市場は弾劾を巡るニュースを消化し、株価指数は上げに転じた。[nL3N26F4I8][nL3N26G3R7]
8月の新築一戸建て住宅の販売戸数が市場予想を上回ったことも市場心理を支援した。[nL3N26G39M]
セクター別では、S&P情報技術 (SPLRCT)が1.2%高。フィラデルフィア半導体(SOX) (SOX)が1.8%高だった。
ロバート・W・ベアードの市場ストラテジスト、マイケル・アントネッリ氏は「良好な経済指標が政治的なノイズと争い、指標が勝った」と述べた。
トランプ大統領がこの日、中国との通商合意が予想よりも早期に実現する可能性があるとの考えを示したことも株式市場の追い風となった。[nL3N26G3MW]
個別銘柄では、ナイキが4.2%高。第1・四半期決算が予想を上回った。[nL3N26G39H]
また米たばこ大手フィリップ・モリス・インターナショナル (N:PM)が5.2%高。同業アルトリア・グループ (N:MO)との合併協議を打ち切ると発表した。[nL3N26G37I]
<金先物> トランプ米大統領の弾劾へ向けた動きに注目が集まる中、対ユーロでのドル上昇に伴う割高感などに圧迫され、4営業日ぶりに反落した。中心限月12月物の清算値は前日比27.90ドル(1.8%)安の1オンス=1512.30ドル。
米中貿易摩擦の長期化懸念やイランとの緊張の高まりを背景に、24日は清算値ベースで約3週間ぶりの高値を付けていたが、25日早朝にかけて利益確定の動きが台頭し、相場は小幅マイナス圏に転落した。
米司法省が午前、トランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の7月の電話会談記録を公表すると、相場は下げ幅を一段と拡大。来年の大統領選の有力な対立候補であるバイデン前副大統領が絡む問題を巡り、トランプ氏がウクライナに調査を働き掛けていたことが同記録によって明らかになったものの、トランプ氏罷免へのハードルはなお高いとの見方から、市場のリスク警戒ムードはひとまず後退したもよう。
相場は昼ごろに一時1507.40ドルまで下落。外国為替市場でドルがユーロに対し買い戻されたことも、ドル建てで取引される金塊の割高感を強め、下押し圧力となった。
<米原油先物> 米エネルギー情報局(EIA)の在庫週報を受けて、需給不均衡に対する警戒感が広がり、続落した。米国産標準油種WTIの中心限月11月物の清算値は前日比0.80ドル(1.40%)安の1バレル=56.49ドル。12月物は0.76ドル安の56.3 2ドル。
外国為替市場では、ドル高・ユーロ安が進行。ドル建てで取引される原油は割高感から売りが先行した。また、EIAが午前に発表した週報によると、最新週の米原油在庫は前 週比240万バレル増と、市場予想(ロイター調査)の20万バレル減に反して積み増しとなった。同週報ではさらに、原油受け渡し拠点であるオクラホマ州クッシングの在庫も230万バレル増となったほか、国内の産油量が前週から増加し、日量平均で 1250万バレルに達したことが示された。これを受けて、国内の供給過剰懸念から原油 は売られ、一時55.55ドルまで下落した。
ただ、イランのロウハニ大統領は25日、国連総会の一般討論演説で「制裁下でのいかなる交渉にも応じない」と表明し、トランプ大統領との直接会談を拒否した。米イラン間の緊張を背景に、相場は次第に下げ幅を圧縮。また、米株相場が上げ幅を拡大したことも、株と並んでリスク資産とされる原油が下げ渋る要因となったもようだ。
ドル/円 NY終値 107.76/107.79
始値 107.31
高値 107.88
安値 107.32
ユーロ/ドル NY終値 1.0941/1.0945
始値 1.0992 (EUR=)
高値 1.0994
安値 1.0938
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時04分 101*11.50 2.1877% (US30YT=RR)
前営業日終値 103*14.00 2.0950%
10年債(指標銘柄) 17時04分 98*31.50 1.7372% (US10YT=RR)
前営業日終値 99*29.00 1.6350%
5年債(指標銘柄) 17時05分 98*09.75 1.6091% (US5YT=RR)
前営業日終値 98*24.50 1.5110%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*20.63 1.6815% (US2YT=RR)
前営業日終値 99*26.13 1.5940%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 26970.71 +162.94 +0.61 (DJI)
前営業日終値 26807.77
ナスダック総合 8077.38 +83.76 +1.05 (IXIC)
前営業日終値 7993.63
S&P総合500種 2984.87 +18.27 +0.62 (SPX)
前営業日終値 2966.60
COMEX金 12月限 1512.3 ‐27.9
前営業日終値 1540.2
COMEX銀 12月限 1807.3 ‐55.5
前営業日終値 1862.8
北海ブレント 11月限 62.39 ‐0.71 (LCOc1)
前営業日終値 63.10
米WTI先物 11月限 56.49 ‐0.80 (CLc1)
前営業日終値 57.29
CRB商品指数 176.6363 ‐0.5512 (TRCCRB)
前営業日終値 177.1875 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20190925T215823+0000