[1日 ロイター] - <為替> ドルが主要通貨に対し下落。一時2年半ぶりの高値を付ける場面も見られたものの、その後は押し戻された。米供給管理協会(ISM)製造業統計の悪化がドル売りを誘った。豪ドルも軟調だった。
9月のISM製造業景気指数は47.8と、前月の49.1から悪化し、2009年6月以来約10年ぶりの低水準と記録した。指数の低下は6カ月連続で、景気拡大・縮小の節目となる50を2カ月連続で下回った。また8月の建設支出も前月比0.1%増と、市場予想の0.4%増に届かなかった。[nL3N26M3BW][nL3N26M38F][nL3N2670VX]
キャピタル・エコノミクスの主任米国エコノミスト、ポール・アシュワース氏は、景気減速は確実に訪れていると述べ、一部の米連邦準備理事会(FRB)当局者がタカ派であっても、FRBは12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で25ベーシスポイント(bp)の追加利下げを行うだろうと予想。
またテンパスのシニア為替トレーダー、ホワン・ペレス氏は「FRBが利下げすると他の中銀も追従して利下げするといったドミノ現象が見られることから、ドルの地合いは弱まっていない。米経済が四半期毎に年率2%のペースで成長し、海外の経済は低迷する状況では、ドルは安全資産と見なされる」と述べた。
主要6通貨に対するドル指数 (DXY)は0.2%安の99.14。一時99.58と2017年5月以来の高値を付けた。ユーロ/ドル (EUR=)は0.3%高の1.0933ドル。
ドル/円は0.3%安の107.74円。日銀の全国企業短期経済観測調査(日銀短観、9月調査)で大企業・製造業の業況判断指数(DI)がプラス5と3四半期連続で悪化し、2013年6月以来の低水準となったことを受け、当初は円安・ドル高となったものの、その後はさえない米ISM統計でドル売りが優勢となった。[nL3N26M0V7]
豪ドルは0.7%安の0.6710米ドル。オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)は政策金利のオフィシャルキャッシュレートを1.00%から0.75%に引き下げた。景気を支援し、失業率の低下を促すことが狙いで、利下げは年初から3回目。必要に応じて金融政策をさらに緩和する方針を示した。[nL3N26M1BW]
<債券> 午後に入って利回りがこの日の最低水準で推移。9月のISM製造業景気指数が2009年6月以来の低水準となったことを受けた。[nL3N26M3BW]
米2年債利回り (US2YT=RR)は6.4bp低下し、3週ぶり水準の1.558%。CMEグループのフェドウォッチによると、FRBの10月利下げ確率は62.5%と、前日の39.6%から大幅に上昇した。
米10年債利回り (US10YT=RR)は2.2bp低下の1.649%。2年債より下げ幅は小さく、利回り格差は2週ぶり水準の9.1bpに拡大した。前日は4.1bpだった。
市場は2日発表のオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)全米雇用報告と4日発表の米9月雇用統計に注視。BMOキャピタル・マーケッツの米金利戦略部門責任者、イアン・リンゲン氏は「労働市場の亀裂が拡大し始めれば、10年債利回りはすぐにも1.50%を再び試し、1年ぶり低水準となる1.43%がターゲットになるだろう」と予想した。
米債利回りはISM製造業景気指数の発表に先立ち上昇。東京円債市場で、この日の10年債入札が不調だったと受け止められ国債先物が急落したことを受けた。[nL3N26M11G]
<株式> 大幅安。ダウ工業株30種 (DJI)とS&P総合500種 (SPX)の下落率は1カ月超ぶりの大きさとなった。9月のISM製造業景気指数が約10年ぶりの低水準となり、米中貿易摩擦が米経済の足かせになっているという懸念が強まった。[nL3N26M3BW]
S&P工業株 (SPLRCI)は2.4%安で、主要11セクターで下落率トップ。素材株とエネルギー株 (SPNY)はともに2.3%下げた。米ボラティリティー・インデックス(VIX指数) (VIX)は約1カ月ぶりの高水準となった。
4日に発表される9月の米雇用統計もさえない内容になるとみられている。
個別株では、オンライン証券のイー・トレード (O:ETFC)が16.4%急落。競合のチャールズ・シュワブ (N:SCHW)が米・カナダ上場の株式、上場投資信託(ETF)、オプションのネット取引手数料を無料にすると発表したことを受けた。チャールズ・シュワブも9.7%安。[nL3N26M3BP]
マクドナルド (N:MCD)は2.7%下落。JPモルガンが第3・四半期の既存店売上高がアナリスト予想を下回ると予想した。
第4・四半期がこの日からスタートし、投資家は10月初めに予定される米中高官による通商協議や企業収益、FRBの次回政策会合などに注目している。
<金先物> 米製造業関連指標の悪化をきっかけに質への逃避の買いが台頭し、3営業日ぶりに反発。中心限月12月物の清算値は前日比16.10ドル(1.09%)高の1オンス=1489.00ドル。
9月のISM製造業景況指数は10年3カ月ぶりの低水準となった。市場予想も下回り、2カ月連続で景気の拡大・縮小の節目となる水準を割り込んだ。この指標を受けて米景気の先行き懸念が一気に再燃。市場のリスク投資意欲が後退し、米株価が下げ足を速めた一方、「安全資産」としての金需要は強まった。外国為替市場で、ドルが対ユーロで下落し、ドル建てで取引される金に割安感が生じたことも支援材料。FRBによる月内追加利下げの可能性が一部で取り沙汰されたことも、金利を生まない資産である金の買いを後押ししたもようだ。
<米原油先物> 米製造業景況指数の悪化を受けてエネルギー需要の先行きに警戒感が広がり、6営業日続落。米国産標準油種WTIの11月物の清算値は前日比0.45ドル(0.83 %)安の1バレル=53.62ドルと、中心限月の清算値ベースで8月上旬以来約2カ月ぶりの安値水準となった。12月物は0.48ドル安の53.50ドル。
9月のISM製造業景況指数は10年3カ月ぶりの低水準となった。市場予想も下回り、2カ月連続で景気の拡大・縮小の節目となる水準を割り込んだ。これを受け、米景気が冷え込みエネルギー需要が低迷す るとの懸念が強まり売りがかさんだ。ただ、外国為替相場では対ユーロでドル安が進行。ドル建てで取引される原油などの商品の割安感につながり、相場を支えた。下落が続いたことで割安感からの安値拾いの買い も入りやすかったもよう。
ドル/円 NY終値 107.74/107.77
始値 108.27
高値 108.44
安値 107.64
ユーロ/ドル NY終値 1.0930/1.0934
始値 1.0900 (EUR=)
高値 1.0942
安値 1.0885
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 103*16.50 2.0911% (US30YT=RR)
前営業日終値 102*27.50 2.1200%
10年債(指標銘柄) 17時05分 99*29.00 1.6352% (US10YT=RR)
前営業日終値 99*18.00 1.6730%
5年債(指標銘柄) 17時05分 100*01.75 1.4886% (US5YT=RR)
前営業日終値 99*24.25 1.5510%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*29.38 1.5419% (US2YT=RR)
前営業日終値 99*24.38 1.6220%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 26573.04 -343.79 -1.28 (DJI)
前営業日終値 26916.83
ナスダック総合 7908.69 -90.65 -1.13 (IXIC)
前営業日終値 7999.34
S&P総合500種 2940.25 -36.49 -1.23 (SPX)
前営業日終値 2976.74
COMEX金 12月限 1489.0 +16.1
前営業日終値 1472.9
COMEX銀 12月限 1730.2 +30.4
前営業日終値 1699.8
北海ブレント 12月限 58.89 ‐0.36 (LCOc1)
前営業日終値 59.25
米WTI先物 11月限 53.62 ‐0.45 (CLc1)
前営業日終値 54.07
CRB商品指数 174.0876 +0.1477 (TRCCRB)
前営業日終値 173.9399 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20191001T223442+0000