[19日 ロイター] - <為替> 終盤のニューヨーク外為市場では、ドル指数が4営業日ぶりに小反発。ただ、米中通商協議を巡る不透明感を背景に投資家の慎重姿勢が継続している。
主要6通貨に対するドル指数 (DXY)は0.05%高。直近3営業日では0.6%下落していた。
テンパスのシニア外為トレーダー兼ストラテジスト、フアン・ペレス氏は「貿易を巡る不確実性が全てだ」と述べた。
米中通商協議を巡っては「第1段階」の合意に向けた期待が高まっていたものの、CNBCが18日、中国政府が米国との通商合意を巡り悲観的なムードになっていると報道。19日にはトランプ米大統領が、米政府が中国と通商問題で合意できなければ、対中関税を一段と引き上げると述べた。[nL3N27Y1IH][nL3N27Z3YR]
投資家はあす発表の10月米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨にも注目している。ペレス氏は「意見の相違が明らかになるだろう。今後利下げをすれば、リセッション(景気後退)の兆しが表れた場合に利下げ余地が非常に乏しくなるとの懸念がおそらく示される」と述べた。
ドルは円に対して0.12%安。
豪中銀が公表した11月理事会の議事要旨で利下げが検討されていたことが示され、豪ドルが一時値下がりしたが、その後は対ドルで0.28%高となった。[nL3N27Z087]
ポンドは0.27%安。来月の英総選挙で与党・保守党が過半数を獲得するとの見方が継続し、ポンドは対ドルで6カ月ぶりの高値に接近する場面もあった。
<債券> 長期債利回りが低下し2週間ぶりの低水準を付けた。米中通商協議を巡って不透明感が根強く、リスク選好が全般的に後退した。市場は米中の妥結に慎重ながらも楽観的だが、交渉が一進一退を繰り返していることから、手控えムードも広がっている。
アクション・エコノミクス(サンフランシスコ)の国際債券部マネジングディレクター、キム・ルパート氏は「株式に多少売りが出ており、安全志向の取引だ」と指摘した。
トランプ米大統領は19日、米政府が中国と通商問題で合意できなければ、対中関税を一段と引き上げると強調。中国は「自分自身が気に入る」ディール(取引)を行う必要があるとし、「われわれが中国とディールを行えなければ、単に関税を一段と引き上げるだけだ」と述べた。[nL3N27Z3YR]
経済指標では、10月の住宅着工件数が年率換算で前月比3.8%増の131万4000戸だった。市場予想は132万戸。また着工許可件数は12年5カ月ぶりの高水準となり、住宅ローン金利が低下する中、住宅市場が力強さを増していることが裏付けられた。[nL3N27Z3LV]
10年債利回り (US10YT=RR)は1.777%、30年債利回り (US30YT=RR)は2.249%と、ともに一時2週間ぶり低水準を付けた。一方、2年債利回り (US2YT=RR)は1.598に上昇した。
2・10年債の利回り格差は縮小し18.7ベーシスポイント(bp)と2週間ぶりの低水準。利回り格差は5日連続で縮小した。前出のルパート氏は「利上げは論外で利下げも当面ないとみられることから長期債が買われた」と説明した。
金融当局者の講演では、米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が19日、米経済の現状は非常に良好で、足元の金利は適切という認識を表明。「金融政策は適切で、経済は望ましい状態にある」とした上で、物価は2%目標の持続的な達成にかなり近づいていると明言した。[nL3N27Z3N2]
<株式> 米国株式市場はダウ工業株30種 (DJI)とS&P総合500種 (SPX)が最高値から下落して取引を終えた。ホームセンター大手ホーム・デポ (N:HD)や百貨店コールズ (N:KSS)のさえない業績見通しを受け、消費支出への懸念が高まった。米中貿易摩擦も引き続き重しとなった。
トランプ米大統領は19日、米政府が中国と通商問題で合意できなければ、対中関税を一段と引き上げると述べた。[nL3N27Z3YR]
ホーム・デポは5.4%値下がりし、S&Pとダウを押し下げた。同社は2019年の通期売上高見通しを引き下げた。今年2回目の下方修正となった。[nL3N27Z3NQ]
コールズは19.5%急落。同社は通期利益見通しを下方修正。第3・四半期の既存店売上高や利益も市場予想を下回った。[nL3N27Z3NU]
米株市場は、米中通商合意への期待や、おおむね市場予想を上回っている第3・四半期企業決算を背景にここ数週間上昇してきた。ナスダック総合 (IXIC)はこの日、0.24%上昇し、最高値を更新した。
コモンウェルス・フィナンシャル・ネットワークのブラッド・マクミラン最高投資責任者(CIO)は「市場は上値を追いたいが、障害が多過ぎる」と指摘。米経済のけん引役として投資家が注目する消費支出に関する第4・四半期の見通しについて、数週間前よりも楽観度合いが弱まったの見方を示した。
トランプ大統領のウクライナ疑惑を巡る弾劾調査の公聴会も、市場を圧迫した。
国家安全保障会議(NSC)でウクライナ問題を担当するビンドマン陸軍中佐は19日、下院情報特別委員会の公聴会で、米大統領が選挙戦での対立候補の捜査を外国に要請したことは「不適切」だったとの認識を示した。[nL3N27Z45Y]
マクミラン氏は「大統領に不利なニュースが続いており、市場の観点からするとマイナス要因だ」と語った。
S&Pの主要11セクターでは7セクターが下落。一般消費財 (SPLRCD)は0.97%安。小売指数は1.24%安。
エネルギーセクター (SPNY)は1.5%安と下落率が最大だった。原油価格の下落が背景。
<金先物> 対ユーロでのドル安などを背景に買われ、小幅続伸した。中心限月12月物の清算値は前日比2.40ドル(0.16%)高の1オンス=1474.30ドル。
外国為替市場では、ドルが対ユーロで下落。ドル建てで取引される金塊などの商品の割安感を強め、金が買われた。さえない米主要企業の決算や米政局不安を背景に米株式相場が下落する中、安全資産としての金に買いが入った面もあった。
ただ、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の発表を20日に控え、内容を見極めたいとの思惑から様子見ムードも広がった。
<米原油先物> 供給過剰懸念が再燃する中、大幅続落した。米国産標準油種WTIの中心限月12月物の清算値は前日比1.84ドル(3.23%)安の1バレル=55.21ドル。1月物は1.79ドル安の55.35ドルだった。
ロイターは19日、関係筋の話として、ロシアは協調減産の延長に参加することはあっても、減産量の拡大に応じる可能性は低いと報じた。石油輸出国機構(OPEC)加 盟・非加盟国で構成されるOPECプラスの会合を来月上旬に控え、協調減産の拡大期待 がしぼみ、相場は一本調子で下落した。
また、最新週の米原油在庫は前週比150万バレル増(ロイター通信拡大版調査)と、4週連続で積み増しとなる見通し。民間と政府の在庫統計をそれぞれ19日午後と20日午前に控え、警戒感が広がった。史上最高値を更新して始まった米株相場が下落に転じたことも、同様にリスク資産とされる原油相場の重しとなった。
ドル/円 NY終値 108.53/108.56
始値 108.69
高値 108.77
安値 108.46
ユーロ/ドル NY終値 1.1078/1.1080
始値 1.1076 (EUR=)
高値 1.1083
安値 1.1073
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 102*22.00 2.2513% (US30YT=RR)
前営業日終値 101*24.50 2.2930%
10年債(指標銘柄) 17時05分 99*21.50 1.7860% (US10YT=RR)
前営業日終値 99*15.00 1.8080%
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*13.00 1.6254% (US5YT=RR)
前営業日終値 99*13.00 1.6250%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*25.88 1.6002% (US2YT=RR)
前営業日終値 99*26.38 1.5920%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 27934.02 -102.20 -0.36 (DJI)
前営業日終値 28036.22
ナスダック総合 8570.66 +20.72 +0.24 (IXIC)
前営業日終値 8549.94
S&P総合500種 3120.18 -1.85 -0.06 (SPX)
前営業日終値 3122.03
COMEX金 12月限 1474.3 +2.4
前営業日終値 1471.9
COMEX銀 12月限 1711.8 +11.8
前営業日終値 1700.0
北海ブレント 1月限 60.91 ‐1.53 (LCOc1)
前営業日終値 62.44
米WTI先物 12月限 55.21 ‐1.84 (CLc1)
前営業日終値 57.05
CRB商品指数 177.1554 ‐2.0228 (TRCCRB)
前営業日終値 179.1782 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20191119T230028+0000