[19日 ロイター] - <ロンドン株式市場> 7営業日続伸して取引を終えた。4カ月超ぶりの高値をつけた。英国が2020年末に欧州連合(EU)と合意せずに離脱する可能性が不安視されてポンドが下落し、輸出銘柄が買われた。
先週の総選挙でジョンソン英首相率いる与党保守党が過半数の議席を獲得したことで当初、株価は上昇したが、ジョンソン氏がEU離脱後の移行期間を20年12月より後に持ち越さない構えを示したことで合意なき離脱への不安が浮上した。
ポンドは2週間ぶりの安値をつけ、日用品のユニリーバ (L:ULVR)や製薬のアストラゼネカ (L:AZN)などドルで収益を上げる国際的な銘柄が値を上げた。
イングランド銀行(英中央銀行)の金融政策委員会での決定は予想通りの内容で、相場を動かす材料とならなかった。市場は、ジョンソン首相がEUとまとめた離脱協定法案の20日の議会採決に注目している。
外食デリバリーサービスのジャスト・イート (L:JE)は不安定な相場展開の末、1.2%上昇して取引を終えた。オランダのインターネット会社プロサス (AS:PRX)がジャスト・イートへの買収提示額を1株800ペンスに引き上げた。その後、料理宅配サービスのテイクアウェイ・ドット・コム (AS:TKWY)も買収提案を改善し、株式交換で1株あたり916ペンスに相当する(18日終値ベース)買収額を提示した。ジャスト・イート株はプロサスの発表後に値を下げ、テイクアウェイ・ドット・コムの発表後、1年半近くぶりの高値に持ち直した。
旅行大手のTUI (L:TUIT)は3.0%下落した。ベレンバーグによる投資判断の引き下げが嫌気された。
中型株ではアウトソーシングを手掛けるキャピタ (L:CPI)が5.1%安となった。ドイツ銀行による投資判断の引き下げが売り材料だった。
<欧州株式市場> 薄商いの中、まちまちで取引を終えた。企業ニュースや中央銀行の政策決定会合は大きな材料とならなかった。
相場は、米中通商合意や英総選挙での与党保守党の勝利を受けて上昇した週初めの高値をやや下回る水準にある。
ジョンソン英首相が欧州連合(EU)離脱後の移行期間を2020年12月の後に持ち越さない構えを示したことから、合意なきEU離脱を巡る懸念が再浮上しており、投資家は慎重な姿勢を保った。ロンドン・アンド・キャピタルで株式部門を率いるロジャー・ジョーンズ氏は「投資家は年末前に新たな動きに出ることよりも、先週のニュースを消化しているところだ。2020年の動きを考えているのもあるだろう」と述べた。
STOXX欧州600種ヘルスケア株指数 (SXDP)は0.77%、石油・ガス株指数 (SXEP)は0.60%それぞれ上昇した。一方、自動車・部品株指数 (SXAP)は0.68%下落した。
イタリアのフィンテック企業、ネクシ (MI:NEXII)は4.2%上昇した。イタリアの大手銀行インテーザ・サンパオロ (MI:ISP)が決済事業をネクシに10億ユーロ(11億1000万ドル)で売却することが材料視された。
イングランド銀行(英中央銀行)は金融政策委員会で、政策金利を予想通り据え置いた。総選挙でジョンソン首相率いる与党・保守党が勝利したことが欧州連合(EU)離脱を巡る先行き不透明性をどの程度解消するのか判断するのは時期尚早との見方を示した。
スウェーデン中銀は政策金利のレポレートを引き上げゼロ%にすることを決定し、マイナス金利から脱した。
<ユーロ圏債券> 独10年債利回りが6カ月ぶりの水準に上昇した。スウェーデン中央銀行のマイナス金利解除を受け、世界の主要中銀によるこれ以上のマイナス金利の深掘りはないとの観測が改めて認識されたことが背景。
スウェーデン中銀は19日、政策金利のレポレートを25ベーシスポイント(bp)引き上げゼロ%とすることを決定し、5年間にわたったマイナス金利を解除した。
現在は欧州中央銀行(ECB)、スイス国立銀行(中央銀行)、日銀のほか、デンマーク中銀とハンガリー中銀がマイナス金利政策を維持。みずほの金利ストラテジスト、ピーター・マッカラム氏は「スウェーデン中銀がマイナス金利を解除したことを受け、市場ではECBもいつかは解除しようとするのではないかとの観測が出ている」と述べた。
ECBは9月の理事会で中銀預金金利をマイナス0.5%に引き下げ、マイナス金利の深掘りを実施した。[nL3N2632P0] ただ市場が織り込む追加利下げの確率は急速に低下している。
こうした中、ユーロ圏の国債利回りは総じて上昇した。格付けの高いドイツ、フランス、オランダの国債利回りは3─4bp上昇。独10年債 (DE10YT=RR)利回りはマイナス0.208%と、6カ月ぶりの高水準を付けた。
イタリア10年債 (IT10YT=RR)利回りは約8bp上昇の1.416%。イタリア国債利回りは他の国の国債よりボラティリティーが高くなる傾向がある。
日銀は18─19日の金融政策決定会合で、現行の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)付き量的・質的金融緩和の継続を賛成多数で決定。政策金利のフォワードガイダンスも維持した。国内景気の先行きは「緩やかな拡大を続ける」との従来見通しは変更しなかった。[nL4N28T0VF]
コメルツ銀行の金利部門責任者、クリストフ・リーガー氏は「日銀は政策据え置きを決定したが、イールドカーブのスティープ化を望んでいることが声明で示唆された。こうしたことがユーロ圏の国債利回りに影響を及ぼした可能性がある」と指摘。日銀の姿勢について「各国中銀の緩和疲れの流れにうまく合致する」と述べた。
<為替> 欧州終盤 アジア市場終盤 コード
ユーロ/ドル 1.1126 1.1126 (EUR=)
ドル/円 109.23 109.56
ユーロ/円 121.55 121.90
<株式指数> 終値 前日比 % 前営業日終値 コード
STOXX欧州600種 415.07 +0.69 +0.17 414.38 (STOXX)
FTSEユーロファースト300種 1621.32 +2.19 +0.14 1619.13 (FTEU3)
ユーロSTOXX50種 3739.17 +0.17 0.00 3739.00 (STOXX50E)
FTSE100種 7573.82 +33.07 +0.44 7540.75 (FTSE)
クセトラDAX 13211.9 -10.20 -0.08 13222.16 (GDAXI)
CAC40種 5972.28 +12.68 +0.21 5959.60 (FCHI)
<金現物> 午後 コード
値決め 1476.7
<金利・債券>
米東部時間14時2分
*先物 清算値 前日比 前営業日終盤 コード
3カ月物ユーロ 100.40 0.00 100.40 (FEIc1)
独連邦債2年物 111.96 -0.01 111.97 (FGBSc1)
独連邦債5年物 133.89 -0.05 133.94 (FGBMc1)
独連邦債10年物 171.28 -0.20 171.48 (FGBLc1)
独連邦債30年物 201.10 -0.60 201.70 (FGBXc1)
*現物利回り 現在値 前日比 前営業日終盤 コード
独連邦債2年物 -0.634 +0.002 -0.635 (DE2YT=RR)
独連邦債5年物 -0.515 +0.007 -0.520 (DE5YT=RR)
独連邦債10年物 -0.241 +0.010 -0.246 (DE10YT=RR)
独連邦債30年物 0.284 +0.012 0.243 (DE30YT=RR) OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20191219T194915+0000