[7日 ロイター] - <為替> ドル指数が上昇し4カ月ぶりの高値を付けた。堅調な内容だった1月の米雇用統計が追い風となった。
ドル指数の週間上昇率は2年超ぶりの大きさとなった。
ドルはポンドやカナダドルに対しても2カ月ぶりの高値を付けた。対スイスフランでは6週間ぶり、対ユーロでは4カ月ぶりの高値となった。
ただ、新型コロナウイルスの感染拡大を巡る懸念が続く中、安全資産の円に対しては下落した。
この日発表された1月の米雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月から22万5000人増と、伸びが加速した。1月は比較的暖かかったため、気候に左右されやすい部門で雇用が増えた。設備投資の低迷が悪化する中でも米経済が緩やかに伸び続ける可能性を示唆した。市場予想は16万人増だった。
サクソ・マーケッツのFXセールストレーダーは1月の米雇用統計を受け「米経済の拡大が確認された」と指摘。「米連邦準備理事会(FRB)は当面、政策金利を据え置くだろう」と述べた。
終盤の取引で、ドル指数 (DXY)は0.2%高の98.687。
ドルは対スイスフラン
対円
FRBは7日に発表した半期に一度の金融政策報告書で、新型コロナウイルスの感染拡大による副次的な影響が米経済見通しのリスクの1つと述べた。
世界保健機関(WHO)のテドロス事務総長によると、新型コロナウイルスによる中国国内での死者は7日時点で637人に達した。中国国内での感染者は計3万1211人。ロイターの算出によると、中国国外では27カ国・地域に拡大し、320人の感染が確認されている。
ユーロも下落。ドイツ連邦統計庁が発表した2019年12月の鉱工業生産指数は、前月比3.5%低下し、2009年1月以降で最大の低下となった。対ドル (EUR=)では一時1.0943ドルと昨年10月以来の安値を付けた。終盤は0.3%安。週間では1.3%安となり、昨年11月以来の大幅な値下がりとなった。
オフショア人民元は対ドルで0.4%安の7.005元。週間では小幅高だった。
<債券> 国債利回りが低下した。1月の米雇用統計は堅調だったものの、新型コロナウイルスの感染拡大や世界的な経済成長に対する懸念が強く意識され、安全資産としての国債に買いが入った。
労働省が朝方発表した1月の雇用統計は非農業部門の雇用者数が前月から22万5000人増と、予想の16万人増を大きく上回った。通常ならこうした堅調な雇用統計発表後は国債が売られ利回りは上昇するが、アナリストは中国での新型ウイルスの感染拡大やドイツの昨年12月の鉱工業生産指数の低下に起因する経済の先行き不透明性が市場で意識されていると指摘。ダイアモンドヒル・キャピタルマネジメントの債券担当最高投資責任者(CIO)、ウィリアム・ゾックス氏は、市場では現在「世界的な情勢」が最も強く意識されていると述べた。
この日は4日連騰していた米株式市場が反落。ピープルズ・ユナイティッド・アドバイザーズの債券ストラテジスト、カリサ・マクドノー氏は、景気を押し上げる次の要因の見通しが不透明な中、株安も国債利回りの低下につながったとの見方を示した。
終盤の取引で10年債 (US10YT=RR)利回りは5.9ベーシスポイント(bp)低下の1.5852%。金利を巡る観測を反映しやすい2年債 (US2YT=RR)は4.4bp低下の1.4031%となっている。
<株式> 反落して終了した。前日まで4日連騰していたが、堅調だった雇用統計が消化される一方で新型コロナウイルスの感染拡大を巡る今後の展開が意識され、売りが優勢となった。
ただ週初からの上昇率はS&P総合500種が8カ月ぶり、ナスダック総合が約1年ぶりの大きさとなった。ミラー・タバクの首席市場ストラテジスト、マット・マレイ氏はこの日の下落について「これまでの大幅な上昇を受けたテクニカルな反動だった」と指摘。「新型コロナウイルスが市場で大きく注目されるようになってから、週末の間に何が起こるか分からないため、毎週金曜日は下落する傾向が出ている」と述べた。
労働省が朝方発表した1月の雇用統計は非農業部門の雇用者数が前月から22万5000人増と、予想の16万人増を大幅に上回った。今週発表の米経済指標はおおむね堅調。連邦準備理事会(FRB)はこの日に発表した半期に一度の金融政策報告書で、新型コロナウイルスの影響について警告したものの、米経済に対する主要なリスクは後退し、リセッション(景気後退)の可能性は減少したとの認識を示した。
ただ新型ウイルスの感染拡大について、ナショナル証券の首席市場ストラテジスト、アート・ホーガン氏は「世界経済に最終的にどの程度の影響が及ぶのか見極めようとする動きが市場では続く」と指摘。新型ウイルスの感染による中国本土の死者は630人を超えている。
個別銘柄ではウーバー・テクノロジーズ (N:UBER)が9.5%高。前日発表の第4・四半期(2019年10─12月)決算は利用者の増加を背景に売上高が拡大したが、料理宅配部門などでコストが膨らみ、引き続き赤字となった。
ビデオゲーム会社のテイクツー・インタラクティブ・ソフトウエア (O:TTWO)は11.9%安。売上高が予想を下回ったことが嫌気された。
ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を1.83対1の比率で上回った。ナスダックでも2.20対1で値下がり銘柄数が多かった。
米取引所の合算出来高は約71億株。直近20営業日の平均は約77億株。
<金先物> 新型コロナウイルスの感染拡大懸念などを背景に買われ、3日続伸した。中心限月4月物の清算値は前日比3.40ドル(0.22%)高の1オンス=1573.40ドル。週間では0.91%安となった。
米労働省が朝方発表した1月の雇用統計によると、景気動向を示す非農業部門の就業者数は22万5000人増加し、伸びは前月(14万7000人=改定)および市場予想(16万人=ロイター調べ)を上回った。これを受け、安全資産とされる金塊には売り圧力がかかり、一時1563.50ドルまで下落。しかし、小売りの雇用減少が個人消費の縮小懸念を招いたほか、新型肺炎の世界的な広がりに対する警戒感も強く、相場はその後プラス圏に切り返した。
午後にかけては、週末を前に持ち高調整の売り買いが交錯し、もみ合う展開。外国為替市場のドル高・ユーロ安基調がドル建て商品の割高感を強めた半面、世界的に軟調となった株式市場の動きが金塊への資金流入を後押しした。
金塊現物相場は午後1時32分現在、3.480ドル高の1570.285ドル。
<米原油先物> 協調減産拡大に対する期待が後退する中、対ユーロでのドル上昇などを背景に売られ、反落した。米国産標準油種WTIの中心限月3月物の清算値は前日比0.63ドル(1.24%)安の1バレル=50.32ドルとなった。週間では2.40%安だった。4月物は0.59ドル安の50.55ドルとなった。
石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟国で構成されるOPECプラスは、4日から3日間、合同専門委員会(JTC)を開催。中国で流行する新型コロナウイルスがエネルギー需要に及ぼす影響に対応するため、暫定的に減産幅を日量60万バレル拡大することを勧告した。ただ、ロシアのノバク・エネルギー相は減産拡大に対する見解を来週明らかにすると述べ、即座の支持を避けた。これを受けて、協調減産拡大への期待がしぼみ、原油が売られた。
また、外国為替市場では、対ユーロでドル高が進行。ドル建てで取引される原油などの商品に割高感が生じ、原油が売られた。さらに、前日に史上最高値を更新した米株式相場がこの日は急落。新型コロナウイルス感染に終息の兆しが見えない中で、株式と並ぶリスク資産である原油にも売りが広がった。
ドル/円 NY終値 109.72/109.75
始値 109.82
高値 110
安値 109.54
ユーロ/ドル NY終値 1.0943/1.0947
始値 1.0951 (EUR=)
高値 1.0977
安値 1.0943
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 107*10.00 2.0457% (US30YT=RR)
前営業日終値 105*24.00 2.1140%
10年債(指標銘柄) 17時05分 101*16.50 1.5817% (US10YT=RR)
前営業日終値 100*30.50 1.6440%
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*27.50 1.4043% (US5YT=RR)
前営業日終値 99*19.00 1.4600%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*30.38 1.4011% (US2YT=RR)
前営業日終値 99*27.50 1.4470%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 29102.51 -277.26 -0.94 (DJI)
前営業日終値 29379.77
ナスダック総合 9520.51 -51.64 -0.54 (IXIC)
前営業日終値 9572.15
S&P総合500種 3327.71 -18.07 -0.54 (SPX)
前営業日終値 3345.78
COMEX金 4月限 1573.4 +3.4
前営業日終値 1570.0
COMEX銀 3月限 1769.2 ‐12.6
前営業日終値 1781.8
北海ブレント 4月限 54.47 ‐0.46 (LCOc1)<0#LCO:>
前営業日終値 54.93
米WTI先物 3月限 50.32 ‐0.63 (CLc1)<0#CL:>
前営業日終値 50.95
CRB商品指数 170.1217 ‐0.3544 (TRCCRB)
前営業日終値 170.4761
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