[4日 ロイター] -
<為替> ドルが上昇した。新型コロナウイルスの発生源を巡り米中対立が再燃するとの懸念を背景にリスク選好度が低下し、安全通貨としてのドル買いが強まった。
ポンペオ米国務長官は3日、新型コロナウイルスについて、中国の研究所が発生源である「かなりの量の証拠」があると述べた。
エクスチェンジ・バンク・オブ・カナダの外為戦略部門責任者、エリック・ブレガー氏は「新たな米中貿易戦争の兆しとドル調達圧力の可能性」と注視していると述べた。
午後の取引で、ドル指数 (=USD)は続伸し、0.3%高の99.529となった。
この日発表された3月の製造業新規受注が前月比10.3%減と、予想の9.7%減を超え、1992年の統計開始以降最大の落ち込みとなったこともドル買いにつながった。
ユーロは対ドル (EUR=EBS)で0.7%安の1.0907ドル。ポンド
OANDAのシニア市場ストラテジスト、エドワード・モヤ氏は「株価が安値を付けた3月23日以降、リスク選好度は回復してきたが、多くの投資家が懐疑的に見ている」と指摘。「投資家はやがて非常に保守的となり、安全資産への資金流入が着実に進むだろう。そしてこれがドルの追い風となる」と語った。
米中対立の高まりを受け、オフショア人民元は対ドル
ドル/円
<債券> 国債利回りはほぼ横ばい。新型コロナウイルス感染拡大を巡り米国が中国に報復措置を取る可能性を示したことで米中対立に懸念が高まり、序盤の利回りは低下したが、大規模な社債発行を受け、利回りはこの日の低水準から戻した。
BMOキャピタル・マーケッツの金利ストラテジスト、ジョン・ヒル氏は、この日の利回りはやや上向きの圧力がかかったと指摘。
終盤の米10年債利回り (US10YT=RR)は0.64%で、前週1日から変わらず。利回りは前月から0.543─0.785%の狭いレンジにとどまっている。
ヒル氏はこれについて「次に何が起きるかという確信が全く持てないことを示している」と述べた。
米財務省は4日、第2・四半期は2兆9990億ドルの借り入れを行うと発表した。新型コロナ感染拡大への対応費用がかさむためで、四半期の借入額としては過去最高となる。
米政府は企業活動停止による経済的影響を緩和するため景気刺激策を打ち出したが、これにより4兆ドル規模の財政赤字に直面する。
今のところ、財源は主に財務省短期証券(Tビル)発行に依存しているが、利付債入札の規模も拡大し始めている。
この傾向は今後も続くとみられるほか、財務省は新たな20年債発行計画の詳細を5月に公表すると、2月に明らかにしている。
<株式> ハイテク株に買いが入り、反発して終了した。原油価格の上昇も押し上げ要因となり、米中間の緊張の高まりを巡る懸念などが相殺された。
新型コロナウイルスの感染拡大に対応するための大規模な財政・金融政策などが奏功し、米株式市場は3月末以降、大きく回復している。市場の注目が感染拡大抑制策の緩和に移る中、この日はニューヨーク州のクオモ知事が、新型コロナウイルス流行で休止状態にある同州の経済活動の段階的な再開を巡る概要を発表した。
プルデンシャル・フィオナンシャル(ニュージャージー州)のチーフ市場ストラテジスト、クインシー・クロスビー氏は「抑制措置を緩和し、経済活動を再開させながら感染拡大を抑えられるのか、市場は注目している」と述べた。
市場ではこのほか、米中間の緊張の高まりも懸念材料となっている。ポンペオ国務長官は3日、新型ウイルスについて、中国の研究所が発生源である「かなりの量の証拠」があると発言。ただ、人為的に作り出されたものではないとの米情報機関の結論に異議は唱えなかった。
個別銘柄では、マイクロソフト (O:MSFT)、アップル (O:AAPL)、アマゾン (O:AMZN)が先週の決算発表を受け買われ、S&P総合500種の上昇をけん引した。
原油高を反映しエネルギー株指数 (SPNY)は3.7%上昇した。
一方、デルタ航空 (N:DAL)、アメリカン航空 (O:AAL)、サウスウエスト航空 (N:LUV)、ユナイテッド航空 (O:UAL)は5─8%安。著名投資家ウォーレン・バフェット氏は2日、自身が率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイ (N:BRKa)の年次株主総会で、航空業界にとって「世界は変わった」と述べ、保有していた米航空株を4月に全て売却したと表明。新型ウイルスの世界的流行で米経済と自身の投資が大打撃を受ける可能性も認めた。
バークシャーは2.6%安でこの日の取引を終えた。
食肉加工最大手タイソン・フーズ (N:TSN)は7.8%安。同社は従業員の呼吸系疾病が拡大したことで複数の工場を停止。新型ウイルスの影響で処理施設停止や生産遅延が続く見込みだと明らかにし、米国の食料供給がさらに悪化する見通しを示した。
この日発表の米経済指標では、3月の製造業新規受注が前月比10.3%減と、予想の9.7%減を超え、1992年の統計開始以降最大の落ち込みとなった。新型コロナウイルス感染拡大で供給網のほか輸出が阻害される中、今後一段の悪化が予想されている。
ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を1.09対1の比率で上回った。ナスダックでは1.14対1で値上がり銘柄数が多かった。
米取引所の合算出来高は約95億株。直近20営業日の平均は約121億株。
<金先物> 新型コロナウイルスの感染拡大をめぐる米中対立への懸念を背景に続伸した。中心限月6月物の清算値は前週末比12.40ドル(0.73%)高の1オンス=1713.30ドル。
ウォレス英国防相はこの日、中国は新型コロナの感染拡大に関して説明する必要があるとの考えを表明。ポンペオ米国務長官も前日、新型コロナの発生源は中国湖北省武漢市のウイルス研究所だとする説について、「かなりの量の証拠がある」と主張した。トランプ大統領も前日に「中国は恐ろしい間違いを犯し、それを隠そうとした」と述べており、市場では米中間の緊張が高まることへの警戒感が拡大。安全逃避の金買いが膨らみ、金相場は底堅く推移した。
金塊現物相場は午後3時2分現在、6.605ドル高の1707.495ドル。
<米原油先物> 朝方の安値から切り返し、続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月6月物の清算値は前週末比0.61ドル(3.1%)高の1バレル=20.39ドルと、20ドル台の節目を回復した。上げ幅は一時0.85ドル(4.3%)に達した。7月物は0.49ドル高の22.78ドルだった。
ポンペオ米国務長官は3日、ABCテレビに出演し、新型コロナウイルスの発生源は中国湖北省武漢市のウイルス研究所だとする説について、「かなりの量の証拠がある」と主張。トランプ大統領も4月30日、「研究所説」を裏付ける確度の高い証拠を「見た」と述べていた。米中関係悪化に伴う需要減退懸念から、朝方のWTIは一時8.7%安となった。
しかし、イタリアやフィンランドなどの国々や米国の一部の州で外出制限を緩和し、経済活動を再開させようとする動きが広がっていることから、市場では石油需要回復への期待が高まった。米エネルギー調査会社ジェンスケープの統計で、先週のオクラホマ州クッシングの原油在庫の増加ペースが鈍化したと伝わったことも相場の上昇を支援した。
ドル/円 NY終値 106.73/106.76
始値 106.82
高値 107.06
安値 106.64
ユーロ/ドル NY終値 1.0906/1.0910
始値 1.0929 (EUR=)
高値 1.0943
安値 1.0896
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 117*27.50 1.2771% (US30YT=RR)
前営業日終値 117*26.50 1.2780%
10年債(指標銘柄) 17時05分 108*07.50 0.6305% (US10YT=RR)
前営業日終値 108*04.50 0.6400%
5年債(指標銘柄) 17時05分 100*02.25 0.3608% (US5YT=RR)
前営業日終値 100*01.00 0.3690%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*28.25 0.1841% (US2YT=RR)
前営業日終値 99*27.13 0.2020%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 23749.76 +26.07 +0.11 (DJI)
前営業日終値 23723.69
ナスダック総合 8710.72 +105.77 +1.23 (IXIC)
前営業日終値 8604.95
S&P総合500種 2842.74 +12.03 +0.42 (SPX)
前営業日終値 2830.71
COMEX金 6月限 1713.3 +12.4
前営業日終値 1700.9
COMEX銀 7月限 1479.6 ‐14.2
前営業日終値 1493.8
北海ブレント 7月限 27.20 +0.76 (LCOc1)<0#LCO:>
前営業日終値 26.44
米WTI先物 6月限 20.39 +0.61 (CLc1)<0#CL:>
前営業日終値 19.78
CRB商品指数 118.5243 +0.8970 (TRCCRB)
前営業日終値 117.6273 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20200504T213759+0000