[11日 ロイター] - <為替> 終盤のニューヨーク外為市場ではドルが上昇。株式が買われ、国債が売られるリスク相場の中でも、安全資産とされるドルが買われた。
この日の市場では、新型コロナウイルス感染の第2波を巡る懸念や各国での経済再開の動きの中、リスクを巡る見方がまちまちだった。
中国の上海ディズニーランドがこの日、約3カ月ぶりに営業を再開したほか、フランスでも約2カ月にわたって実施されていた都市封鎖(ロックダウン)が緩和された。一方、一足早く新型コロナを巡る外出制限措置が緩和されたドイツなどでは感染が再拡大する様相を見せており、拙速な制限緩和が新型コロナ感染の「第2波」を招きかねないとの不安が高まった。
アクション・エコノミクスのアナリストは「市場は早すぎる経済再開が感染の第2波を招くと懸念しており、それにより投資家が警戒を続ける」と述べた。
ただ、メルク・インベストメンツのアクセル・メルク社長兼最高投資責任者は「いわゆるリスクオフの環境ではない」と分析。
<債券> 米金融・債券市場では国債利回りが総じて上昇した。市場では新型コロナウイルス感染拡大を受けて政府が国債を発行して対応するとみられている。
8日の取引では、米連邦準備理事会(FRB)もマイナス金利政策を導入する可能性があるとの見方が台頭し、2年債利回りが過去最低水準を更新。この日は国債利回りは総じて上昇し、午後の取引で10年債 (US10YT=RR)利回りは3.9ベーシスポイント(bp)上昇の0.7195%となっている。
米国では4月に2050万人の雇用が失われるなど新型ウイルス感染拡大の甚大な影響が出ているが、FRB当局者はこれまでもマイナス金利政策導入にはおおむね反対姿勢を表明。この日はアトランタ地区連銀のボスティック総裁が、マイナス金利政策は「政策ツールの中でも弱いものの1つ」との考えを示し、あまり支持していないと述べた。
キャンター・フィッツジェラルドのアナリスト、ジャスティン・レデラー氏は、パウエルFRB議長も13日に行う講演で同様の見解を示す公算が大きいとの見方を示している。
この日の米短期金融市場では、フェデラルファンド(FF)金利先物が示すマイナス金利発生の確率は8日時点よりも低下。金利見通しを反映しやすいとされる2年債 (US2YT=RR)利回りは午後の取引で2.8bp上昇の0.1768%となっている。
<株式> 米国株式市場はS&P500 (SPX)が小幅続伸。ダウ平均 (DJI)は反落した。新型コロナウイルス感染の第2波を巡る警戒感と経済活動再開への期待が入り交じる展開となった。
ヘルスケアとハイテク株が買われ、S&Pとナスダックを支援した。
米株価が比較的底堅く推移していることについて、レノックス・ウエルス・アドバイザーズの最高投資責任者、デイビッド・カーター氏は「大規模な財政・金融刺激策が経済を活性化させ、収益押し上げを支援するという現実的な期待を踏まえ、投資家は株に買いを入れている」と述べた。同時に「市場に存在する楽観的な見方は新型コロナの第2波が発生すれば打ち消される可能性がある」とし、確実な新型コロナ対策に欠く中で「市場は揺れ動く公算が大きい」と述べた。
韓国ではウイルス第2波到来の可能性が出ているほか、ドイツでは1人の感染者が何人に感染を広げるかを示す「再生産数」が上昇しており、経済活動の再開に向けたロックダウン(都市封鎖)措置の緩和が時期尚早である可能性を示唆した。
個別銘柄では、医薬品卸売のカーディナル・ヘルス (N:CAH)が6.7%高。新型コロナのパンデミック(世界的流行)によって四半期売上高が押し上げられた。
<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、外国為替市場でドル高が進んだことを受け、続落した。
この日の外為市場では、新型コロナウイルスの感染拡大で制限されていた経済活動の再開に向けた動きが各国で広がる中、感染の「第2波」が到来しかねないとの懸念が台頭。安全資産としてのドルを買う動きが強まった。これを受け、ドル建てで取引される金塊に割高感が生じ、相場の重しとなった。
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、新型コロナウイルスの感染「第2波」への懸念から、反落した。
新型コロナ感染防止のため制限している経済活動の再開によって、感染の第2波が起きることへの懸念が重し。経済活動への制限を緩和したドイツでは、感染者が再び増加した。中国や韓国でも、新たなクラスター(感染者集団)が確認された。
ドル/円 NY終値 107.66/107.69
始値 107.22
高値 107.76
安値 107.25
ユーロ/ドル NY終値 1.0806/1.0810
始値 1.0817 (EUR=)
高値 1.0843
安値 1.0802
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 114*06.50 1.4137% (US30YT=RR)
前営業日終値 115*00.00 1.3830%
10年債(指標銘柄) 17時05分 107*15.00 0.7067% (US10YT=RR)
前営業日終値 107*23.00 0.6810%
5年債(指標銘柄) 17時05分 100*04.00 0.3496% (US5YT=RR)
前営業日終値 100*08.00 0.3240%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*28.75 0.1768% (US2YT=RR)
前営業日終値 99*30.50 0.1490%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 24221.99 -109.33 -0.45 (DJI)
前営業日終値 24331.32
ナスダック総合 9192.34 +71.02 +0.78 (IXIC)
前営業日終値 9121.32
S&P総合500種 2930.32 +0.52 +0.02 (SPX)
前営業日終値 2929.80
COMEX金 6月限 1698.0 ‐15.9
前営業日終値 1713.9
COMEX銀 7月限 1568.0 ‐9.8
前営業日終値 1577.8
北海ブレント 7月限 29.63 ‐1.34 (LCOc1)<0#LCO:>
前営業日終値 30.97
米WTI先物 6月限 24.14 ‐0.60 (CLc1)<0#CL:>
前営業日終値 24.74
CRB商品指数 122.6740 ‐2.0657 (TRCCRB)
前営業日終値 124.7397 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20200511T221336+0000