[13日 ロイター] - <為替> 終盤のニューヨーク外為市場では、主要通貨に対し小幅に上昇。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長はこの日の講演で、悲観的な経済見通しを示したほか、マイナス金利を刺激策として活用する考えを否定した。
パウエル議長は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い米経済は「長期」にわたり成長が低迷し所得も停滞する恐れがあるとした上で、FRBは必要に応じて一層対応すると明言。一方、市場で織り込まれ始めているマイナス金利については「検討していない」と述べ、導入に否定的な考えを示した。
主要6通貨に対するドル指数 (=USD)は0.23%高の100.26。日中の安値は99.57だった。
ウエスタン・ユニオン・ビジネス・ソリューションズのシニア市場アナリスト、ジョー・マニンボ氏は「パウエル議長がマイナス金利の考えを断固として否定したのはドル強気派には心地良いもので、これを受けドルを買い増す可能性もある」と述べた。
ただ、CMEグループのフェドウォッチによると、2021年4月以降の金利先物はなおマイナス金利を織り込んでいる。
<債券> 米金融・債券市場では、国債利回りが安定的に推移した。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長のこの日の講演内容はこれまでの発言と大きく変わらないと受け止められたことで、債券相場は大きく反応しなかった。
終盤の取引で10年債 (US10YT=RR)利回りは4.1ベーシスポイント(bp)低下の0.6509%と、パウエル議長講演前の水準近くで推移している。
パウエル議長はピーターソン国際経済研究所が主催するオンラインイベント行った講演で、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い米経済は「長期」にわたり成長が低迷し所得も停滞する恐れがあると指摘。FRBは必要に応じて一層対応すると表明すると同時に、財政支出も一段の拡大が求められるとの考えを示した。また、マイナス金利に対する懐疑感も改めて表明した。
トゥルーエスト・サントラスト・アドバイザリーサービシズの債券戦略部門ディレクター、アンドリュー・リッチマン氏は、この日のパウエル氏の講演内容はこれまでの発言をほぼ踏襲するものだったため、債券相場は大きく動かなかったと指摘。パウエル氏は一段と対応する用意があると表明すると同時に、さらなる財政刺激が必要との考えも示したと述べた。
財務省が実施した220億ドルの30年債入札は軟調。シーポート・グローバル・ホールディングスのマネジング・ディレクター、トム・ディガロマ氏は、プライマリーディーラーの落札比率が約21%だったことについて、一般投資家の需要が低調だったことを反映し平均より高くなったと指摘。株式市場が「リスクオフ」となっていることで「国債入札の魅力が薄れた」との見方を示した。
<株式> 米国株式市場は続落し、ダウ平均は516ドル安で取引を終えた。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が、新型コロナウイルス感染拡大によって米経済が「長期」にわたり低迷する恐れがあるとの見通しを示したことが重しとなった。
引け際の数分間で主要株価指数は下げ幅を縮小したものの、市場は従来想定よりも大幅な景気後退を織り込んだ。
パウエル議長はFRBが必要に応じて一層対応するとした一方、財政支出も一段の拡大が求められると明言。TDアメリトレードのトレーダー戦略マネジャー、ショーン・クルーズ氏は「経済の鈍い回復や長期的な被害を回避するためには強力な財政対応が必要だとし、実質的に責任を政府に負わせた」との見方を示した。
チャールズ・シュワブのチーフグローバル投資ストラテジスト、ジェフリー・クライントップ氏によると、共和・民主間の意見相違が追加の財政支援策に対する見通しに影を落としているという。
また、パウエル議長がマイナス金利政策の導入に否定的な見解を示したことは市場の安心感につながったものの、シュワブのクライントップ氏は、議長発言はここ最近に比べてより悲観的だったとした。
<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が新型コロナウイルスの感染拡大を受け、追加の財政出動の必要性を訴えたことなどを背景に続伸した。
パウエル議長はこの日、ウェブ上での講演で、新型コロナを受けた経済対策に関し、「先行きが非常に不透明で大きな下振れリスクがあることを踏まえると、最終章ではない可能性がある」と明言。「景気回復が十分に進むまであらゆる措置を取り続ける」と表明し、財政出動による世帯や企業の支援策がさらに必要だとの考えを強調した。
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う不況が長期化することへの懸念から、反落した。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長はこの日の講演で、新型コロナによる経済への打撃が長期化することへの警戒感を示した。また、前日の米議会の公聴会では、専門家が性急な経済活動再開による感染拡大に警鐘を鳴らし、市場では感染「第2波」へ の懸念も意識された。
ドル/円 NY終値 107.02/107.04
始値 106.96
高値 107.14
安値 106.75
ユーロ/ドル NY終値 1.0816/1.0819
始値 1.0863 (EUR=)
高値 1.0895
安値 1.0812
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 116*01.00 1.3445% (US30YT=RR)
前営業日終値 115*01.00 1.3820%
10年債(指標銘柄) 17時05分 99*23.00 0.6541% (US10YT=RR)
前営業日終値 99*11.38 0.6920%
5年債(指標銘柄) 17時04分 100*08.75 0.3194% (US5YT=RR)
前営業日終値 100*06.25 0.3350%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*29.50 0.1649% (US2YT=RR)
前営業日終値 99*29.00 0.1730%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 23247.97 -516.81 -2.17 (DJI)
前営業日終値 23764.78
ナスダック総合 8863.17 -139.38 -1.55 (IXIC)
前営業日終値 9002.55
S&P総合500種 2820.00 -50.12 -1.75 (SPX)
前営業日終値 2870.12
COMEX金 6月限 1716.4 +9.6
前営業日終値 1706.8
COMEX銀 7月限 1567.1 ‐3.8
前営業日終値 1570.9
北海ブレント 7月限 29.19 ‐0.79 (LCOc1)<0#LCO:>
前営業日終値 29.98
米WTI先物 6月限 25.29 ‐0.49 (CLc1)<0#CL:>
前営業日終値 25.78
CRB商品指数 120.6290 ‐1.9999 (TRCCRB)
前営業日終値 122.6289 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20200513T221455+0000