[5日 ロイター] -
<為替> 終盤のニューヨーク外為市場ではドルが下落し、リスク通貨が上昇した。米国の新型コロナウイルス追加経済対策への楽観論などが背景。
この日の米株式市場は、新型コロナ経済対策への期待のほか、コロナに感染したトランプ米大統領が退院すると発表したことを受けて上昇した。
ウエスタン・ユニオン・ビジネス・ソリューションズのシニア市場アナリスト、ジョー・マニンボ氏は、「市場は、米経済減速を示し続ける指標を受けて、遅かれ早かれ財政刺激策が実現すると確信しているのだろう」と述べた。
メドウズ米大統領首席補佐官はこの日、コロナ経済対策を巡る協議が合意に達する可能性はあり、トランプ大統領は引き続き、対策の実現にコミットしていると語った。
ドル指数 (=USD)は0.32%下落したが、経済対策が合意に至らなかった場合、ドルにとっては上昇要因になるとみられる。
ウェルズ・ファーゴのマクロストラテジスト、エリック・ネルソン氏は「(11月の)選挙前の景気刺激策成立の見通しはまだ非常に低いと考える」とし、特にノルウェークローネや豪ドルのようなリスクの高い通貨に対しては、現在のドル安が落ち着くだろうと述べた。
ユーロ (EUR=)は対ドルで0.50%高の1.1774ドルと、9月21日以来の高値。
豪ドル
トランプ氏のコロナ感染を巡る診断は、11月3日の米大統領選だけでなく、ドルの行方にもさらなる不透明感を投げ掛けている。
ラボバンクのシニアFXストラテジスト、ジェーン・フォーリー氏は、「米国の政治的不確実性がこれだけ高まっている中で、ドルをどう取引すべきかに関する明確なコンセンサスがない」と述べた。
トランプ氏はこの日、入院中の米軍医療施設を5日中に退院すると明らかにした。
今週は米連邦準備理事会(FRB)が7日に前回の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を、欧州中央銀行(ECB)も8日に前回理事会の議事要旨を公表する。
英ポンド
<債券> 新型コロナウイルス追加経済対策が11月の大統領選挙前に策定される可能性があるとの期待が高まったことで、国債利回りが上昇し、10年債、20年債、30年債利回りは一時5週間ぶり高水準を付けた。
米供給管理協会(ISM)発表の9月の非製造業総合指数(NMI)が改善したことに加え、新型ウイルスに感染し入院しているトランプ米大統領がこの日のうちに退院するとの観測が出ていたことも、利回り上昇の要因となった。トランプ大統領は午後、この日のうちに退院するとツイッターに投稿した。
新型ウイルス追加経済対策を巡っては、ペロシ下院議長とムニューシン財務長官が約1時間にわたり電話で協議。協議は6日も継続される。メドウズ米大統領首席補佐官は、合意の可能性はまだ残されていると述べた。
エバーコアISI(ニューヨーク)の債券ストラテジスト、スタン・シップリー氏は「協議に進展が見られているようだ。大統領選前に議会を通過する確率は五分五分だが、間に合わなかったとしても、選挙後に実施される」と述べた。
終盤の取引で10年債 (US10YT=RR)利回りは0.761%と、前営業日終盤の0.694%から上昇。一時は0.762%と、8月下旬以来の高水準を付けた。
30年債 (US30YT=RR)利回りは1.567%と、1.48%から上昇。一時は1.569%と、5週間ぶりの高水準を付けた。
2年債 (US2YT=RR)利回りは0.146%と、0.133%から上昇。2年債と10年債の利回り格差
<株式> 米国株式市場は大幅に反発し、前週末の下げを取り戻した。ダウ工業株30種 (DJI)は465ドル(1.68%)高、ナスダック総合 (IXIC)は2.32%高。新型コロナウイルス追加経済対策への期待が高まったことや、新型コロナに感染したトランプ米大統領が退院するというニュースを受けた。
トランプ大統領は5日、先週末に入院したワシントン郊外のウォルター・リード米軍医療センターを同日午後6時半に退院すると明らかにした。
製薬会社リジェネロン・ファーマシューティカルズ (O:REGN)は7.1%高。トランプ氏の治療に同社が開発中の抗体カクテル医薬品が利用された。
メドウズ米大統領首席補佐官はこの日、コロナ経済対策を巡る協議が合意に達する可能性はあり、トランプ大統領が引き続き対策の実現にコミットしていると語った。
ロイトホルト・グループのチーフ投資ストラテジスト、ジム・ポールセン氏は「景気刺激策を巡る話し合いはまだ続いている。何らかの合意に至る可能性は高いようだ」と述べた。
また、トランプ大統領の回復を示すニュースは、市場が恐れるボラティリティーや混乱、不透明感の低下につながると語った。
追加のコロナ経済対策を巡る不透明感や景気回復の鈍化で、S&P総合500種 (SPX)はこのところ圧力を受けており、9月の下落率はコロナ禍による急落以降で最も大きかった。
一方、この日発表の経済指標も市場を後押しした。米供給管理協会(ISM)が発表した9月の非製造業総合指数(NMI)は57.8と、新型コロナ流行前の水準を上回った。新規受注と雇用が改善し、全体水準を押し上げた。市場予想は56.3だった。
ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を3.10対1の比率で上回った。ナスダックでは3.04対1で値上がり銘柄数が多かった。
米取引所の合算出来高は84億5000万株。直近20営業日の平均は97億9000万株。
<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物 相場は、ドル安・ユーロ高を背景に買われ、反発した。中心限月12月物の清算値(終値 に相当)は、前週末比12.50ドル(0.66%)高の1オンス=1920.10ドル。
外国為替市場ではドルが対ユーロで下落し、ドル建てで取引される金は割安感から買い が入った。
ただ、新型コロナウイルスに感染し入院中のトランプ米大統領の専属医は4日の記者会見で、トランプ氏の「状況は改善を続けている」と説明し、早ければ5日にも退院できる見通しを示した。これを受けて、投資家のリスク回避姿勢が和らぎ、米株相場は堅調に推移。半面、安全資産とされる金の需要は減退し、上値は抑えられた。
市場は新型コロナウイルス追加経済対策法案をめぐる協議の行方や7日に公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨に注目している。
金塊現物相場は午後1時40分現在、12.095ドル高の1914.895ドル。
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、新型コロナウイルスに感染したトランプ米大統領の病状改善が好感される中、急反発した。
米国産標準油種WTIの中心限月11月物の清算値(終値に相当)は前週末比 2.17ドル(5.86%)高の1バレル=39.22ドル。前週末は約1カ月ぶりの安値を付けていた。12月物は2.16ドル高の39.50ドルだった。
トランプ氏の専属医は4日、記者会見で状況が改善していると説明し、5日にも退院できるとの見通しを示した。米大統領の病状に対する警戒感が後退し、リスク選好の動きが強まる中、株が買われたのにつれて原油にも買いが膨らんだ。原油は前週末に大幅に下落したため、安値拾いの買いも入りやすかった。
また、新型コロナ対応の米経済対策をめぐる期待感も浮上。ノルウェー沖の石油・ガス田でのストライキも相場の支援材料だった。
ドル/円 NY終値 105.72/105.75
始値 105.64
高値 105.79
安値 105.55
ユーロ/ドル NY終値 1.1781/1.1785
始値 1.1751 (EUR=)
高値 1.1797
安値 1.1748
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 95*01.00 1.5845% (US30YT=RR)
前営業日終値 97*15.50 1.4800%
10年債(指標銘柄) 17時05分 98*17.50 0.7784% (US10YT=RR)
前営業日終値 99*11.00 0.6940%
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*19.00 0.3323% (US5YT=RR)
前営業日終値 99*26.50 0.2850%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*30.50 0.1487% (US2YT=RR)
前営業日終値 99*31.50 0.1330%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 28148.64 +465.83 +1.68 (DJI)
前営業日終値 27682.81
ナスダック総合 11332.49 +257.47 +2.32 (IXIC)
前営業日終値 11075.02
S&P総合500種 3408.60 +60.16 +1.80 (SPX)
前営業日終値 3348.44
COMEX金 12月限 1920.1 +12.5
前営業日終値 1907.6
COMEX銀 12月限 2456.0 +53.1
前営業日終値 2402.9
北海ブレント 12月限 41.29 +2.02 (LCOc1)<0#LCO:>
前営業日終値 39.27
米WTI先物 11月限 39.22 +2.17 (CLc1)<0#CL:>
前営業日終値 37.05
CRB商品指数 147.3743 +3.2519 (TRCCRB)
前営業日終値 144.1224 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20201005T212330+0000