[オタワ 24日 ロイター] - カナダ銀行(BOC、中央銀行)は24日、政策金利である翌日物金利の誘導目標を5.0%に据え置いた。基調インフレは依然懸念材料としつつも、今後の焦点は追加利上げの必要性ではなく、利下げ開始時期にシフトしつつあるとした。
金利据え置きは4会合連続で、市場の予想通りだった。
マックレム総裁は「会合での金融政策に関する議論は、政策金利が物価安定回復に向け十分に制約的かどうか、現行の水準をどの程度の期間維持する必要があるかという点に移っている」と述べた。
声明からは「必要に応じ政策金利を引き上げる用意がある」という文言が削除された。しかし、マックレム総裁は「新たな動向がインフレを押し上げれば、なお利上げが必要となる可能性はある」とし、追加利上げの可能性を排除していないことを強調した。同時に「経済がおおむねわれわれの見通しに沿って推移すれば、政策金利をどの程度の期間5%に維持するかが今後の議論になる」という見通しを示した。
中銀は、成長見通しを小幅下方修正。同時にインフレについては、今年上期に約3%にとどまった後、下期に2.5%に鈍化し、2025年中に目標に戻るという見通しを示した。
マックレム総裁は「インフレの一段の低下は緩やかで、一様でない公算が大きい」とし、中銀は「根強い基調インフレを懸念している」と述べた。金融政策の緩和に着手する前に「インフレ圧力が引き続き緩和し、基調インフレ低下の勢いを確認したい」と述べた。
総裁が利下げの可能性のある時期について言及したのは今回が初めて。
ただ、その後の記者会見で総裁は「利下げを議論するのは時期尚早だ」とした。
TDセキュリティーズのチーフカナダストラテジスト、アンドリュー・ケルビン氏は、中銀が「利上げ完了をほぼ確実視しているが、インフレ面でさらなる進展が見られるまで短期的な利下げは検討しない」と述べた。
CIBCキャピタル・マーケッツのチーフエコノミスト、エイブリー・シェンフェルド氏は「カナダ銀行はまだ金利緩和の準備ができておらず、その意欲もなく、可能な状況でもまだないが、年内の利下げ可能性を示唆するようなことをちらつかせた」とした。
金融市場では、中銀が4月に利下げを開始する確率を40%織り込んだ。この日の会合前は65%だった。6月の利下げ開始は引き続き完全に織り込まれている。
カナダドルは0.1%安の1米ドル=1.3475カナダドルとなった。
量的引き締め(QT)に関しては、中銀はQTを継続していると指摘。QT終了について、マックレム総裁は時期尚早とし「われわれがまだそこに至っていないことは確実だ」とした。