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UPDATE1: 東京外為市場・午後3時=ドル76円後半、ユーロ底堅くスロバキア議会採決に楽観的

発行済 2011-10-11 16:52

       ドル/円   ユーロ/ドル  ユーロ/円

午後3時現在 76.69/70  1.3638/40  104.58/63

正午現在   76.65/69  1.3624/25  104.46/48

午前9時現在 76.66/68  1.3624/28  104.43/48

NY17時現在 76.66/70  1.3639/44 104.55/60

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 [東京 11日 ロイター] 午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点

とほぼ同じ76円後半で推移している。米金利上昇への反応は乏しく、上下13銭値幅で

のレンジ取引になった。ユーロは対ドル、対円とも海外市場での急騰が一服。ユーロ/ド

ルは1.36ドル前半まで自律調整となった。しかし、調整は浅く、きょう予定されてい

るスロバキアでの、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)拡充をめぐる議会採決には

楽観的な見方が広がっている。

 アジア時間これまでのドル/円は、76.62─76.75円の上下13銭値幅でもみ

あった。上値が重い一方で、このところ76円半ば付近の下値も堅く、こう着感が強まっ

ている。インターバンク勢は76.90円付近から売り注文を出しているというが「個人

はこう着相場に飽きて手を引いている。ただ、クロス円の水準が切り上がっていることで

ドル/円にも売りを出しにくくなっている」(武田氏)との声が聞かれた。

 米国金利が上昇しており、市場では「ドル/円がなぜ上昇しないかが不思議だ。(米雇

用統計だけでなく)持続的にいい数字が出てこなければ、ドル買いに弾みがつきにくいの

だろう。市場の関心は欧州ソブリン問題に向かっており、これが一巡するまで米景気回復

期待によるドル買いにはなりにくい」(大手銀行)との声が出ている。

 ユーロ/ドルは、海外市場で急騰したあとの一服局面が続いている。海外市場では

1.3698ドルまで、10日安値からは約320ポイントの急騰となったが、1.37

ドルには届かなかった。9月下旬の戻り局面でも1.37ドルの手前で跳ね返されたこと

から「ショートカバーによる買い戻しのメドになったようだ」(大手銀行)との声が出て

いる。

 その後、アジア時間には一時1.3617ドルまで売られたが、自律調整の範囲内。そ

の後は下げ渋ったことで、短期的な底堅さを確認してショートカバーが入ってきていると

いう。市場では「自律調整に未了感があり、1.35ドル半ばくらいまでの調整はあって

いい」(セントラル短資FX営業本部、武田明久氏)という。1.37ドル付近にはスト

ップロスが観測されている。

 きょうはEFSF拡充をめぐるスロバキアの議会採決が予定されているが「市場は承認

の方向でみている」(SMBC日興証券シニア債券為替ストラテジスト、野地慎氏)とい

う。このため「承認されたとしても上値は限られる。1.37ドルをいったん抜けること

はあっても、定着するとは思えない。逆に承認されなければサプライズで、1.34ドル

付近まで下げてもおかしくない」(大手銀行)との声が上がっている。

 <米10年債利回りが上昇し、ダブルボトムを形成>

 予想を上回った米雇用統計やその後の株価上昇を受けて米10年債利回り

が上昇、8月末以来の水準に切り上がっている。チャート的には、9月22日(1.71

%)と10月3日(1.74%)を底とするダブルボトムを形成しており、いったんの底

打ち感が出てきている。SMBC日興証券シニア債券為替ストラテジスト、野地慎氏は

「1.75%付近での底打ち感は出始めてきている」とみている。

 ただ、これまで利回りを低下させた主体が邦銀や米銀を中心とするリアルマネーである

ことを指摘、リスクアセットを買えないなかで米債への潜在的な買いニーズはあるとみて

いる。また、利回り低下を受けて日本の生保は外債投資を減らしてきたが、2.25─

2.50%に戻れば再び買いに出てくるとの見方。さらに、「ツイストオペに加えて投資

家の潜在的な米国の期待成長率の低下で、10年債利回りを50bpは押し下げた」(野

地氏)ことから、今後の利回りの上昇余地は当面は2.3%と予想しており、ドル/円の

押し上げ効果も限定的とみている。

 <米国発の金融危機と欧州債務危機の相似を指摘する声>

 市場では、米国発の金融危機と欧州債務危機の相似を指摘する声が上がっている。米国

の住宅バブルに乗ってハイレバレッジ取引を繰り返した米国を中心とする金融機関は、バ

ブル崩壊とともに危機に陥った。ベアスターンズ救済で一服したものの終息せず、その後

のリーマンショックを経て金融危機が具体化した。住宅バブルでヘッジファンドなどのリ

スクマネーが増大したことが、需給面から危機に拍車をかけた。草野グローバルフロンテ

ィア代表取締役、草野豊己氏は「日米欧ともこのときに財政・金融政策を出し尽くした。

次のリスクに対する政策余地はほとんどなくなった」と指摘する。

 しかし、次の危機は欧州債務危機という形で現れた。金融危機で欧州でも金融機関のリ

スクを国が肩代わりしたことに加え、ユーロ加盟でイージーマネーの流入したギリシャな

どの放漫経済もあり、欧州周辺国で債務危機が表面化した。昨年のギリシャ救済で一服し

たものの、今年の半ばから再び危機が高まっている。金融危機を経ていったん収縮したヘ

ッジファンドの運用資産は再び拡大しており、足の速いCTAの運用資産は過去最高。リ

スクマネーが危機を加速する条件も整っている。草野氏は「政策余地が乏しいなかで何か

がトリガーを引けば、リーマンショックに相当する危機が起きる可能性が非常に高い」と

警告している。

 金融危機前には証券化商品が人気化するなかで、SPVがCDSを複数束ねて資産担保

証券であるシンセティックCDOを組成した。高格付け債を組み合わせることで格付けを

上げ、顧客の信用を得る手法が話題になった。

 EFSFは、救済対象国への融資から金融機関への資本注入や債券の市場買い入れなど

に機能を広げる可能性が出てきている。草野氏は「EFSF債は、周辺国への融資や債券、

銀行株などを原資産とする証券化商品とみることができる。原資産の安全性には疑問があ

り、トリプルA国の保証をつけることで高格付けを得ようとする手法は、かつての証券化

商品をほうふつとさせる。レバレッジによる規模拡大案も出るなかで、日本政府のEFS

F債購入は妥当だろうか」と懸念している。

 (ロイターニュース 松平陽子)

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