■要約
城南進学研究社 (T:4720)は東京・神奈川を地盤とする総合教育ソリューション企業。
大学受験の「城南予備校」から出発し、社会環境の変化に対応して、小学生や乳幼児へと教育サービスを拡大してきた。
一生を通じた一人ひとりの主体的な学びを支援することを目指している。
1. 2018年3月期は予備校部門の減収の一方、新規開校を着実に実施し、増収減益
同社の2018年3月期決算は、売上高7,024百万円(前期比1.4%増)、営業利益304百万円(同9.3%減)と増収減益で着地した。
売上高は前の期に予備校2校を整理統合した影響で予備校部門が減収となったほか、個別指導部門も経営効率改善を優先したため減収となった。
これを映像授業部門や児童教育部門などの増収でカバーし、前期比では増収を確保したものの、期初予想には未達となった。
利益面では、教室の整理統合や成長分野における新規開校を着実に実施し、計画どおりに費用が発生した。
その結果、売上高が未達だった分利益が圧縮される形となり、営業利益は予想比、前期比ともに減益となった。
2. 2019年3月期は収益構造改革を一気に加速
同社は2019年3月期において収益構造改革を一気に加速させる方針だ。
最大の懸案事項であった予備校部門について事業モデルの再構築を図ることが主眼だ。
ポイントは、単に予備校を統合閉鎖するのではなく、総合教育ソリューション企業の強みを生かして、予備校の統合・閉鎖、新業態「城南予備校DUO」の拡大、マナビスの拡大、の3施策を一体で推進し収益構造を一気に転換を図る点にあると弊社では考えている。
前期までに進めた資産売却等で資金的な裏付けはできている。
また、DUOはパイロット校を2校開校済みで、十分な手応えを得ているもようだ。
マナビスについてもこれまでの実績は申し分ない状況だ。
これらのことから、収益構造改革の成功可能性は充分あると弊社ではみている。
3. “谷深ければ山高し”を実践して2020年3月期にV字回復を目指す
2019年3月期は、収益構造改革の一環で新規開校が大幅に増加するため、先行費用の増大で利益は大幅な赤字となる見通しだ。
弊社では、注目すべきは2020年3月期のV字回復可能性だと考えている。
2019年3月期の赤字額の大きさは、翌期にV字回復を実現することへの同社の強い意志の表れであると弊社では理解している。
前述のように、同社の計画には説得力があり成功可能性は充分あると考えているが、リスク要因もある。
それは新規開校が思うように進まないケースだ。
新規開校は物件の確保など、同社だけの事情では決定できない要素もあることが理由だ。
今後の展開を見守りたい。
■Key Points
・予備校の統合・閉鎖、新業態の拡大、映像授業の拡大、の3施策を一体で推進し、収益構造を一気に転換へ
・総合教育ソリューション企業の強みを最大限に生かし、シナジー追求も本格化
・2019年3月期に想定どおりの新規開校を実現できれば、2020年3月期はV字回復へ
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
城南進学研究社 (T:4720)は東京・神奈川を地盤とする総合教育ソリューション企業。
大学受験の「城南予備校」から出発し、社会環境の変化に対応して、小学生や乳幼児へと教育サービスを拡大してきた。
一生を通じた一人ひとりの主体的な学びを支援することを目指している。
1. 2018年3月期は予備校部門の減収の一方、新規開校を着実に実施し、増収減益
同社の2018年3月期決算は、売上高7,024百万円(前期比1.4%増)、営業利益304百万円(同9.3%減)と増収減益で着地した。
売上高は前の期に予備校2校を整理統合した影響で予備校部門が減収となったほか、個別指導部門も経営効率改善を優先したため減収となった。
これを映像授業部門や児童教育部門などの増収でカバーし、前期比では増収を確保したものの、期初予想には未達となった。
利益面では、教室の整理統合や成長分野における新規開校を着実に実施し、計画どおりに費用が発生した。
その結果、売上高が未達だった分利益が圧縮される形となり、営業利益は予想比、前期比ともに減益となった。
2. 2019年3月期は収益構造改革を一気に加速
同社は2019年3月期において収益構造改革を一気に加速させる方針だ。
最大の懸案事項であった予備校部門について事業モデルの再構築を図ることが主眼だ。
ポイントは、単に予備校を統合閉鎖するのではなく、総合教育ソリューション企業の強みを生かして、予備校の統合・閉鎖、新業態「城南予備校DUO」の拡大、マナビスの拡大、の3施策を一体で推進し収益構造を一気に転換を図る点にあると弊社では考えている。
前期までに進めた資産売却等で資金的な裏付けはできている。
また、DUOはパイロット校を2校開校済みで、十分な手応えを得ているもようだ。
マナビスについてもこれまでの実績は申し分ない状況だ。
これらのことから、収益構造改革の成功可能性は充分あると弊社ではみている。
3. “谷深ければ山高し”を実践して2020年3月期にV字回復を目指す
2019年3月期は、収益構造改革の一環で新規開校が大幅に増加するため、先行費用の増大で利益は大幅な赤字となる見通しだ。
弊社では、注目すべきは2020年3月期のV字回復可能性だと考えている。
2019年3月期の赤字額の大きさは、翌期にV字回復を実現することへの同社の強い意志の表れであると弊社では理解している。
前述のように、同社の計画には説得力があり成功可能性は充分あると考えているが、リスク要因もある。
それは新規開校が思うように進まないケースだ。
新規開校は物件の確保など、同社だけの事情では決定できない要素もあることが理由だ。
今後の展開を見守りたい。
■Key Points
・予備校の統合・閉鎖、新業態の拡大、映像授業の拡大、の3施策を一体で推進し、収益構造を一気に転換へ
・総合教育ソリューション企業の強みを最大限に生かし、シナジー追求も本格化
・2019年3月期に想定どおりの新規開校を実現できれば、2020年3月期はV字回復へ
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)