米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを停止し、さらなる利上げに「辛抱強く」対応すると誓った1月のFOMCの後、今週は多くのFOMCメンバーによる発言を聞く機会がある。
12月のFOMCで更なる利上げを示唆していたFRBは、弱いインフレ圧力と世界経済の成長リスクの高まりを理由に、1月のFOMCでこれを破棄した。月曜日(日本時間では火曜日)にメスター・クリーブランド連銀総裁、金曜日にブラード・セントルイス連銀総裁の発言があるが、FOMCの後の彼らの発言に市場は注目している。パウエルFRB議長は水曜日に発言する予定だが、内容が金融政策かどうかは不明だ。
投資家はまた、火曜日のトランプ大統領の一般教書演説にも関心が高い。演説は当初1月29日に予定されていたが、一時的な政府機関の閉鎖が影響して延期されていた。トランプ大統領は、国境の壁の予算について新たに要求する可能性がある。
旧正月を迎える中国市場は1週間閉鎖されるが、投資家はまだ米中間の貿易戦争が緩和しているという何らかの兆候を探すだろう。
3月29日のブレグジットについて不透明感が高まっているため、イングランド銀行は木曜日の金融政策委員会で金利を据え置くと予想されている。
オーストラリア準備銀行も今週、金融政策委員会を開催する予定だが、中国の減速が国内経済に打撃を与えたため、2021年まで政策金利を1.5%に据え置くことを示唆する可能性がある。
金曜日の米ドルは雇用統計の発表を受け大きく上昇して始まったにもかかわらず、横ばいで終わった。1月の雇用統計で賃金上昇が低迷していることが示され、FRBの更なる利上げは遠のくことになった。
非農業部門雇用者数は11ヶ月ぶりの高い水準である30万4,000人となり、16万5,000人の予想を上回った。しかし、失業率は7ヶ月ぶりの4%まで上昇し、 平均時給は0.3%の増加予想に対し、わずか0.1%の増加だった。
Credit AgricoleのFXストラテジストであるEric Viloria氏は「雇用統計は雇用者数の大幅増加に加え全体的に堅調なレポートだったため、ドルが急激に上昇しました。しかし弱い平均賃金だったことでおそらくFRBは利上げに“我慢強い”姿勢を強めることになるため、それがドルの上昇を抑制しました」と述べた。
金曜日のドルインデックスは95.30となり、ほぼ横ばいで終わった。ドルはユーロと円に対してほとんど変動せず、 EUR / USDは1.1454、 USD / JPYは109.48だった。
木曜日に米国のライトハイザー通商代表が2日間の中国との閣僚級協議で「大幅な進展」があったことを報告した後、市場は幾分堅調に推移した。
連邦準備制度理事会が政策金利の引き上げについてより慎重になっているので、ドルは今年弱くなると予想されている。
ロンドンの モルガンスタンレーの通貨ストラテジスト世界責任者であるHans Redeker氏は「米ドルに対する見通しは依然として魅力的ではなく、投資家は他の通貨を買うべきです。米国の株式市場の見通しも弱いことから、円やスウェーデンのクローナなど、政策金利の低い通貨は引き続きサポートされるでしょう」と語った。
Investing.comは今週で市場に影響を与える可能性のある重要なイベントのリストをまとめた。
2月4日(月)
中国の金融市場は旧正月の祝日のために閉鎖(月~金曜日)
09:30 オーストラリア建築許可件数
18:30 英建設業購買部協会景気指数
19:00 ユーロ圏生産者物価指数
2月5日(火)
00:00 米製造業新規受注
09:30 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
09:30 オーストラリア小売売上高、貿易収支、政策金利発表
18:30 英サービス業購買部協会景気指数
19:00 ユーロ圏小売売上高
2月6日(水)
00:00 ISM非製造業購買担当者指数
ドナルド・トランプ大統領一般教書演説
10:30 ローウェ・オーストラリア準備銀行副総裁講演
16:00 独製造業新規受注
22:30 カナダ建築許可
2月7日(木)
06:45 ニュージーランド雇用者数
09:00 パウエルFRB議長講演
16:00 独鉱工業生産
19:00 EU経済見通し
21:00 イングランド銀行政策金利発表
22:30 米失業保険申請数
2月8日(金)
08:50 日本平均現金給与額、経常収支
09:30 ブラード・セントルイス連銀総裁講演
22:30 カナダ雇用者数