米連邦準備制度理事会(FRB)は4日声明を発表し、トランプ大統領の招待を受けてパウエル議長とクラリダ副議長が大統領とムニューシン米財務長官との夕食会に参加し、成長、雇用、インフレ見通しに関して、協議したと明らかにした。
金融政策に関しての議長の声明は、先週開催された連邦公開市場委員会(FOMC)でのの会見内容に一致。
「FOMCは今後の経済の情報が見通しにどのように影響するか次第で政策の軌道を決定する」と強調したにとどまり、政策見通しの協議はなかった。
パウエル議長は政策の決定を注意深く、客観的に非政治的な分析を基準にしていくと加えた。
FOMCは1月の会合で政策金利の据え置きを決定。
同時に「さらなる緩やかな利上げが正当化すると判断」とのフォワードガイダンスを削除し、利上げの停止を示唆した。
昨年末に市場の変動率の上昇にもつながった中国や欧州など世界経済の成長減速リスク、米中貿易協議の不透明性、米国財政策の効果が薄れることなどを、政策決定の理由として挙げた。
パウエル議長は、今後の行動が全て経済の展開次第だとし、「利上げ」にも「利下げ」にもなり得る可能性を指摘している。
トランプ大統領は昨年度々、FOMCの利上げペースが速すぎると、政策決定を非難してきた。
また、名指しでパウエル議長を非難。
一時、大統領が議長を更迭するとの懸念も広がり、昨年12月の市場の混乱の一因にもなったことを考慮し、大統領と議長の会談はプラス材料としてとらえられた。
2019年に入り、米国経済の成長ペースは鈍化したものの、トランプ大統領が就任以降、強い成長が続いていることは確か。
大統領とFRB議長との会談に加えて、トランプ大統領がワシントンで5日夜に予定している一般教書演説で、世界各国と比較し、米国経済の強さを強調すると見られており、ドルや金融市場をさらに支援する材料になると見る。
■トランプ米大統領の一般教書演説●移民●貿易●インフラ●医療費、処方薬の引き下げ●国家安全保障がテーマとなる模様。