みなさんこんにちは!フィスコマーケットレポーターの高井ひろえです。
みなさんは金価格が5か月以上にわたって上昇を続けていることにお気づきでしょうか。
東京商品取引所の金先物価格を見ると、ここ最近で一番安かったのは昨年の8月中旬で、1グラムあたり4,112円でした。
その後の価格の推移を見ると、まさに右肩上がり。
2月12日は4,643円となり、約13%も上昇しているのです。
そこで今回は、金価格が上昇する要因について考えていきましょう。
■上昇要因(1)米国利上げの停止まずは、米国の年内利上げの停止が米FRB(連邦準備制度理事会)で示唆されたことです。
利上げが停止されると、米ドルを預金することによりもらえる金利が上がらなくなり、魅力度が下がるので、米ドルに流れていた資金が他の金融商品、例えば金などに流れやすくなります。
よって、今後ドル安・金高に振れやすいとみられています。
なお、昨年は全体的にドル高で推移しており金価格は低調に推移していました。
■上昇要因(2)トランプ大統領の指導力不足また、一見関係なさそうにみえますが、トランプ大統領の指導力不足が露呈してきていることも、金価格の上昇要因になります。
2019年1月21〜24日に実施された世論調査によると、トランプ大統領の最新の支持率は37%と、40%を割り込んだと報道されています。
政権運営の不安定化は米ドルの価値への不安をもたらすので、米ドル安になりやすく、金に資金が流れることが想定されます。
■上昇要因(3)中国の不動産バブル崩壊他には、中国の不動産バブル崩壊による不良債権増加も要因として挙げられています。
先々週、中国の不動産開発業者であるJiayuan International (佳源国際)の株価が何と81%もの急落となりました。
同社が発行している3億5千万ドルの米ドル債が不履行になるのでは?という思惑が広がったからです。
これに連鎖して他の不動産関連株価も急落しました。
中国の不動産業界は、今年550億ドルの米ドル債の満期を迎えるといいます。
中国経済の3割を占めるJianyuan社は満期が到来した米ドル債を完済したと公表しましたが、米金利の上昇により借り換えコストは急上昇しているものと思われます。
こういった株を保有しているよりも、金に投資した方が安心ということで、金に資金が向かうことも想定されます。
経済番組などを見ながら、上記のニュースを見て「大変なことになりそうだ。
」と思うところから一歩踏み込んで、「金価格への影響はどうなるのだろう?」と考えてみるのも面白いかもしれませんね。
■それ、本物の金ですか?金のウソ発見器価格上昇要因がいくつも想定されている金ですが、近年、貴金属市場では偽造地金が多く出回っているようです。
例えば「タングステン」という金属は金とほぼ同じ比重なので、金製品に混入してもわからない場合があり、専門的な鑑定を行わないと検出できないそうです。
自分自身の目では分かりようがないので困りますよね。
地金商も偽物を見抜く機器を保有してはいるのですが、高価な設備が多く、また一回の取引で数百個の金塊を取引する場合は時間と手間がかかってしまい不便なようです。
そんな中、もっと簡易的に鑑定ができる金塊の偽物発見器「Bullion Protect」が開発されたとのことです。
これは、地金の表面に直接触れることで検査する方法です。
これによってキロバーの地金の重量を10ミリグラムの誤差まで検出できるとのこと。
金は金自体の取引市場を生んだだけではなく、それに付随した検査機械の市場へも広がっているのですね。
フィスコマーケットレポーター 高井ひろえ