[ニューヨーク 5日 ロイター] - ニューヨーク外為市場では、米中が通商合意に近づいているとの観測が高まる中、リスク選好度が上昇し、安全通貨とされる円とスイスフランが対ドルで下落した。
ドルが円とスイスフランに対し上昇したことで、主要6通貨に対するドル指数は3週間ぶりの水準に上昇。中国人民元も対ドルで上昇したほか、通商問題に敏感に反応する豪ドルも大きく値を上げるなどの動きが出た。
中国人民銀行(中央銀行)は5日、1年物中期貸出ファシリティー(MLF)を通じて金融機関に4000億元(569億2000万ドル)を供給。金利は3.25%と、前回の3.30%から5ベーシスポイント(bp)の引き下げた。コメルツ銀行はこの幅は「微小」と指摘。市場関係者はこうしたことも全般的なリスク選好度の上昇に寄与したとしている。[nL3N27L0M7]
米中通商協議を巡っては、中国が「第1段階」の合意の一環として9月に発動された対中関税を撤回するよう求めていることが4日、関係者の話で明らかになった。米中は過去1年4カ月間にわたり、相互に関税措置を発動。ソシエテ・ジェネラルの外為戦略部門責任者、キット・ジャックス氏は、「第1段階の合意が得られる可能性はかなり高い」との見方を示した。
終盤の取引でドルは対円で109.21円、対スイスフランで0.9934フランと、ともに0.6%上昇。ドル指数 (DXY)は0.5%高の97.969となっている。
中国人民元はオフショア市場で1ドル=6.9838元と、8月5日以来の高値を更新。オンショア市場での終値は8月2日以来の高値となった。
米中合意を巡り楽観的な見方が出ていることで、豪ドルは対米ドルで3カ月ぶり高値に迫ったほか、対円 (AUDJPY=)では7月終盤以来の高値を付けた。
ただユーロは対ドル (EUR=)で0.4%安の1.1091ドルと軟調。ソシエテ・ジェネラルのジャックス氏はポーランドの製造業活動が大きく減速したことがユーロの重しになっていると指摘。ポーランドなどの中欧諸国はユーロ圏の企業の主な市場であるほか投資先となっていることに言及し、ユーロは市場で現在みられているリスク選好度の改善の恩恵を受けにくくなっていると述べた。
ドル/円 NY終値 109.15/109.16
始値 108.80
高値 109.24
安値 108.82
ユーロ/ドル NY終値 1.1074/1.1075
始値 1.1115
高値 1.1116
安値 1.1064