先週の新興市場では、マザーズ指数、日経ジャスダック平均ともに上昇したが、日経平均に比べ伸びは鈍かった。
週前半は新興株人気が続き、マザーズ指数は6月1日、およそ1年半ぶりに1000pt台を回復。
ただ、週半ばになると為替の円安進行や金利の上昇に伴い、株式相場全体としてグロース(成長)株優位からバリュー(割安)株優位の地合いに変わった。
新興成長株中心のマザーズでも先行して株価上昇していた銘柄を中心に利益確定の売りが出た。
なお、週間の騰落率は、日経平均が+4.5%であったのに対して、マザーズ指数は+1.4%、日経ジャスダック平均は+1.2%だった。
個別では、マザーズ時価総額上位のメルカリ (T:4385)が週間で0.6%高と小幅ながらプラスを確保し、弁護士にオンライン相談できるサービスを開始した弁護士ドットコム (T:6027)は同5.6%高と堅調だった。
売買代金上位では、株式分割実施を発表したサイバーセキュリティクラウド (T:4493)、中外製薬 (T:4519)とAI(人工知能)システムのライセンス契約を締結したFRONTEO (T:2158)、PCR検査装置を開発するプレシジョン・システム・サイエンス (T:7707)などが大幅高。
また、GMO TECH (T:6026)の株価は前週末のおよそ2.1倍となった。
一方、アンジェス (T:4563)が同4.6%安、フリー (T:4478)が同4.2%安となり、グッドスピード (T:7676)などが下落率上位に顔を出した。
ジャスダック主力は日本マクドナルドHD (T:2702)が同2.4%高、ワークマン (T:7564)が同4.4%高、ハーモニック・ドライブ・システムズ (T:6324)が同8.7%高と全般堅調。
マクドナルドやワークマンは5月度の売上が好調だった。
売買代金上位ではテラ (T:2191)が引き続き大幅高となり、ズーム (T:6694)が週間のジャスダック上昇率トップとなった。
一方、第一商品 (T:8746)や大木ヘルスケアHD (T:3417)が下落率上位に顔を出した。
今週の新興市場では、マザーズ指数の上げ一服を想定しておきたい。
米国では雇用の急回復とともに金利が一段と上昇。
高バリュエーションのグロース株の割高感を強め、売りを促す要因となる。
マザーズ指数は3月安値527.30pt(取引時間中)から先週の高値1022.39pt(同)までほぼ一本調子で上昇。
個別でも目標株価超過による投資判断引き下げが散見され、やや過熱感が出てきていただけに、これを冷やすには良いタイミングだろう。
「アフターコロナ」を睨んだ新興株への期待は依然として高く、金利の騰勢が一服すれば人気再燃しそうだ。
空運株が急伸するなど経済活動再開への期待が株式相場を押し上げており、新興市場でも航空券予約サイトのアドベンチャー (T:6030)などに物色が向かいやすいだろう。
なお、今週は6月9日にアスカネット (T:2438)、11日にGA technologies (T:3491)、ステムリム (T:4599)、12日にスマレジ (T:4431)、Link-U (T:4446)、サンバイオ (T:4592)、ギフト (T:9279)などが決算発表を予定している。
ラーメン店運営のギフトなどはあく抜け感につながるか注目したい。
IPO関連では、ロコガイド {{|0:}}(6月24日上場、マザーズ)とコパ・コーポレーション (T:7689)(6月24日、マザーズ)が無事に仮条件発表を通過した。
今週も6月上場案件が順次、仮条件を発表しブックビルディング(BB)期間に入る。
なお、先週はBranding Engineer {{|0:}}(7月7日、マザーズ)の新規上場が発表されている。