[東京 21日 ロイター] - 政府は21日、気温低下が予想される東京電力管内で22日の電力需給が厳しくなる見通しにあるとし、初の「電力需給ひっ迫警報」を発令した。
経済産業省によると、他社からの電力融通を受けても需給がひっ迫する電力会社の供給予備率が3%を下回る見通しとなった場合に、政府から「需給ひっ迫警報」を発令することになるが、今回、全国で初めての発令となった。「需給ひっ迫警報」は、2011年の東日本大震災後にできた制度。
16日に福島県沖で発生した地震で、6基の火力発電所が停止している。電力供給に懸念が出ており、経済産業省や東京電力は家庭や職場での節電を要請した。節電が必要なのは午前8時から最大午後11時までで、必要な需要抑制量は6000万kWh。節電率は10%程度となる。
16日の福島県沖の地震により、東北・東京エリアの火力発電所6基・計約330万kWが停止している。22日は東日本で気温が低く、電力需要が大きく増加することが予想されているなか、天気が悪いため太陽光発電も期待できないことなどから、暖房の設定温度を20度に引き下げたり、使っていない部屋の電気を消すなど、日常生活に必要のない範囲での節電を呼び掛けている。暖房の設定温度を1度下げると10%の節電になるという。
経産省では「現時点で想定する需要に供給力は届いていない」としており、揚水発電を早期に使い果たすなどし、需給が逼迫すれば、大規模な停電につながる恐れがある。寒さが想定より厳しく、電力需要が増えるなどした場合、具体的な節電の数字や時間帯を示して、さらなる節電を要請することもあり得る。
経産省幹部は「短期的には東日本大震災後に計画停電を講じて以来の厳しい需給状況」としている。
東京電力では、火力発電所の出力を増加させての運転や自家用発電を有する事業者への稼働・出力増の要請、広域的な電力の融通などを行う。現段階で計画停電は準備しておらず「回避することに全力を尽くしている段階」としている。
停止している火力発電はすぐに再開できる状況にはないものの、経済産業省では、22日のような寒さが過ぎれば、需要が低下するため、需給の厳しさは解消するとみている。